農研機構、栽培しやすく食味に優れたりんごの新品種「紅つるぎ」を育成
農研機構は、食味に優れ栽培しやすいコンパクトな樹姿のりんご新品種「紅つるぎ」(系統名:盛岡74号)を約30年をかけて育成したと発表した。生産基盤が縮小傾向にある日本のりんご生産を革新する品種として期待される。
りんごの栽培は、管理作業に多くの人手を必要とすることから、農業従事者数は減少し、りんごの栽培面積も減少している。このような状況で需要を満たすためには、省力化に向けた果実生産システムの抜本的な改善が必要だという。
本来りんごは高木に育つため、これまではわい性台木を利用し、生育を抑制することで樹高を低くして作業効率を高めてきた。また、高収量で高品質果実を生産する高密植わい化栽培のための樹形の開発も行われている。
今回農研機構は、更なる省力栽培を進めるため、枝が横に広がらず、コンパクトな樹姿になる省力栽培に適した特性を持つ品種を開発した。
海外のりんご品種「McIntosh(マッキントッシュ)」の枝変わり品種である「Wijcik(ウィジック)」がもつカラムナー性は、コンパクトな樹姿となり、省力栽培や自動収穫機などのスマート農機の利用に適する特徴として期待されている。しかし、これまでに日本の主要品種並みの果実品質を持つカラムナー性のりんご品種は育成されていなかった。
今回の研究では、海外から導入したカラムナー性の系統を母本として、約30年の育成期間をかけて日本の優良品種と2世代の交配を行い、カラムナー性をもち、日本の消費者の好みに合致する、既存の主要品種並みに食味の優れる新品種「紅つるぎ」を育成した。
紅つるぎは、「ふじ」などの一般的な分枝型のりんご品種とは異なり、枝が横に広がらず、コンパクトな樹姿になる性質が特徴。育成地である岩手県盛岡市での果実の収穫期は、10月上旬の中生のりんご品種であり、糖度は14%と高く、糖酸のバランスがよく、食味も優れている。
果皮の色については、濃赤色で着色はしやすい一方で、果梗部分が短く果実が枝に密着していて、着色管理のための玉回しができないことから、果梗部の着色は均一にはならないという。
紅つるぎは、岩手県を始め全国の主要なりんご産地で栽培が可能だ。また、樹姿がコンパクトで枝の伸長が少なく、樹の構造も単純なため省力的な管理が行えるという。
直立した樹を横一列に配置することで、結実部位が平面的な園地にすることができ、摘果や収穫など多くの管理作業で人・機械の動線が単純化される。また、結実面を壁状に仕立てれば、将来的には自動収穫機などによる機械化など、スマート農業にも対応すると考えられている。
品種名の由来は、赤い果実が結実し、樹姿が縦に長いカラムナー性の品種であることから、色と形状を想起させる紅つるぎと名付けられた。なお、苗木は品種登録後に提供を開始する予定で、現在は生研支援センター「食料安全保障強化に資する新品種開発」プロジェクトなどで栽培体系を作成中とのこと。
農研機構
https://www.naro.go.jp/index.html
スマート農機への高い適性に期待
りんごの栽培は、管理作業に多くの人手を必要とすることから、農業従事者数は減少し、りんごの栽培面積も減少している。このような状況で需要を満たすためには、省力化に向けた果実生産システムの抜本的な改善が必要だという。
本来りんごは高木に育つため、これまではわい性台木を利用し、生育を抑制することで樹高を低くして作業効率を高めてきた。また、高収量で高品質果実を生産する高密植わい化栽培のための樹形の開発も行われている。
今回農研機構は、更なる省力栽培を進めるため、枝が横に広がらず、コンパクトな樹姿になる省力栽培に適した特性を持つ品種を開発した。
海外のりんご品種「McIntosh(マッキントッシュ)」の枝変わり品種である「Wijcik(ウィジック)」がもつカラムナー性は、コンパクトな樹姿となり、省力栽培や自動収穫機などのスマート農機の利用に適する特徴として期待されている。しかし、これまでに日本の主要品種並みの果実品質を持つカラムナー性のりんご品種は育成されていなかった。
今回の研究では、海外から導入したカラムナー性の系統を母本として、約30年の育成期間をかけて日本の優良品種と2世代の交配を行い、カラムナー性をもち、日本の消費者の好みに合致する、既存の主要品種並みに食味の優れる新品種「紅つるぎ」を育成した。
紅つるぎは、「ふじ」などの一般的な分枝型のりんご品種とは異なり、枝が横に広がらず、コンパクトな樹姿になる性質が特徴。育成地である岩手県盛岡市での果実の収穫期は、10月上旬の中生のりんご品種であり、糖度は14%と高く、糖酸のバランスがよく、食味も優れている。
果皮の色については、濃赤色で着色はしやすい一方で、果梗部分が短く果実が枝に密着していて、着色管理のための玉回しができないことから、果梗部の着色は均一にはならないという。
紅つるぎは、岩手県を始め全国の主要なりんご産地で栽培が可能だ。また、樹姿がコンパクトで枝の伸長が少なく、樹の構造も単純なため省力的な管理が行えるという。
直立した樹を横一列に配置することで、結実部位が平面的な園地にすることができ、摘果や収穫など多くの管理作業で人・機械の動線が単純化される。また、結実面を壁状に仕立てれば、将来的には自動収穫機などによる機械化など、スマート農業にも対応すると考えられている。
品種名の由来は、赤い果実が結実し、樹姿が縦に長いカラムナー性の品種であることから、色と形状を想起させる紅つるぎと名付けられた。なお、苗木は品種登録後に提供を開始する予定で、現在は生研支援センター「食料安全保障強化に資する新品種開発」プロジェクトなどで栽培体系を作成中とのこと。
農研機構
https://www.naro.go.jp/index.html
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