Green Carbonとベジタリア、「スマート栽培暦」活用でJ-クレジット創出を効率化

Green Carbon株式会社とベジタリア株式会社は共同で、J-クレジット創出に向けた水田メタンガス削減を目的とした業務連携を締結した。ベジタリアが提供する「スマート栽培暦(水稲用)」を活用し、J-クレジット創出の効率化を促進する。


Green Carbonは、カーボンクレジットの創出(J-クレジット/ボランタリークレジット)、登録、販売までを一気通貫でサポートする事業等を展開。海外でも事業を展開しており、フィリピンでは現地の大学と連携して水田のメタンガス削減プロジェクトの実証を、メキシコではJICA(国際協力機構)と共に農地貯留の実証を行っている。

ベジタリアは、気候変動対応型・農業DXアプリケーション「スマート栽培暦」を企画・運営する企業。「スマート栽培暦」の社会実装に向け、農林水産省の「スマート水田普及研究開発プラットフォーム」事務局として全国43都道府県を対象に、自社の水田センサーシステムを活用した実証も重ねてきた。

「水稲栽培における中干し期間の延長」の課題を解決


日本では、2023年3月1日にJ-クレジットの運営委員会で「水稲栽培における中干し期間の延長」の方法論が新たに承認されたが、J-クレジットの認証を受けるためには、「排出削減量とカーボンクレジット創出金額の計測」と「直近2年間の平均より7日間の中干し期間延長」の2つが必要となっている。

「排出削減量とカーボンクレジット創出金額の計測」については、 必要な5項目を入力するだけで排出削減量とカーボンクレジット創出金額がわかるシミュレーションツールが開発され効率化が進んでいる。

一方、「直近2年間の平均より7日間の中干し期間延長」については、中干しを延長することにより収量・品質減になることを懸念する農家が多く、品種・地域ごとの適切なタイミングに中干しを開始するための判断材料を得ることが課題となっているという。

今回の業務提携は、「スマート栽培暦」を活用して、中干し期間中の稲の生育をモニタリングしながら収量や品質への影響を最小化しつつ、最適な中干し延長期間を判断できるようにするもの。

スマート栽培暦 

「スマート栽培暦」では、品質と収穫量を最大化するアルゴリズムに加え、水管理によるメタン削減が可能となっており、稲の生育への影響を最低限に抑えつつ、土壌を好気的な状態に保ち、有機物の投入量や投入時期をコントロールしてメタンの発生量削減を目指す。

直近2年以上の平均実施日数(目標値)と今年度の水位をグラフでわかりやすく表示し、水田の中干し状況を一目で確認できるほか、圃場に設置したカメラやAI生育モニタリング等を使用して、草丈・茎数・SPAD・気温・水温・地温・日照状況・降水量など稲の生育状況や圃場の環境状態を常にモニタリングし、中干し開始時期の判断や中干し期間中の追肥、中干し終了の判断などを機動的に行うことができる。

さらに、バイオ炭施用、化学肥料・化学農薬の低減対応など、みどりの食料システム戦略の温室効果ガス削減の 「見える化」ラベルの取得に必要な肥料情報管理や資材の投入管理によるラベル取得サポートも行う。

両社は、今回の業務連携を機に、2023年度中に全国約4000ヘクタール(約1万2000t-CO2e)の水田を対象に実証を進める構えで、2025年には全国で4万ヘクタール(12万t-CO2e)の削減を目指していくとしている。


Green Carbon株式会社
http://green-carbon.co.jp/
ベジタリア株式会社
https://vegetalia.co.jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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