ヤンマーES、「もみ殻バイオ炭製造装置」の実証試験を滋賀県で開始

ヤンマーホールディングスのグループ会社であるヤンマーエネルギーシステム株式会社は、もみ殻バイオ炭製造装置の実証試験を2023年10月から開始した。実証期間は2024年8月頃までを予定している。

もみ殻バイオ炭製造装置

もみ殻処理と脱炭素の課題を解決


現在日本の米づくりの現場では、収穫後に大量に発生するもみ殻の処理方法が課題となっているという。また、適切な処理をしなければ二酸化炭素(CO2)よりも高い温室効果を持つメタンガスなどが発生するため、環境負荷を軽減する新たな技術の開発が求められている。

今回の実証実験は、同社が2019年よりもみ殻ガス化発電で実証していたバイオ炭製造の部分に着目し、2024年9月の商品化を目指して「もみ殻バイオ炭製造装置」の開発を進めていくもの。

滋賀県高島市にある西坂農機株式会社今津営業所の協力の下、未利用資源(もみ殻)を活用した循環型農業とバイオ炭の土壌施用による炭素固定を行い、農業分野での脱炭素化への技術確立を目指すと同時に、もみ殻の燃焼時に発生する熱利用を検討する。

もみ殻の処理費用削減や生成されたバイオ炭の利用拡大、カーボンクレジット等を活用した収益化などを通じ、環境面や経済面のメリットの確立を目指す。

もみ殻:約1日分の処理量(約2.4トン)

脱炭素サイクルのイメージ

実証実験の概要


目的
・商品化に向けた燃焼およびバイオ炭の性能確認
・バイオ炭の効果検証と用途開発
・もみ殻バイオ炭製造装置の廃熱利用検討
実証期間
2023年10月~2024年8月頃(予定)
設置場所
西坂農機株式会社今津営業所(滋賀県高島市今津町上弘部1067)
処理能力
・もみ殻年間処理量400トン/年(4000ヘクタール/年)
・もみ殻バイオ炭年間製造量100トン/年
・炭素固定量117トン-CO2/年
※CO2換算値。実際には製造時および施肥時のCO2排出量を別途減算する必要がある。


ヤンマーエネルギーシステム株式会社
https://www.yanmar.com/jp/about/company/yes/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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