マイファームが東京証券取引所TOKYO PRO Marketに上場、農業ソーシャルベンチャーでは日本初

株式会社マイファームは、東京証券取引所が運営するプロ投資家向けの株式市場である「TOKYO PRO Market」に上場したと発表した。上場日は2023年11月27日で、農業ソーシャルベンチャーとしては日本初の上場となる。


上場後は海外進出も強化


マイファームは、体験農園事業や農業教育事業等を展開する農業ソーシャルベンチャー企業。日本では初となる体験農園サービスの全国展開を進め、「耕作放棄地の再生屋」として多くのメディアに取り上げられている。

また、全国に先駆けて社会人向け農業スクールも開校し、現在は北海道札幌市に拠点を置く札幌静修高校の運営に関わるなど、農業人口の創出に向けた事業も積極的に展開。農業ベンチャー企業としては珍しく、実際に農地を賃借し、複数の地域で「認定農業者」を取得して農産物生産も行っている。

上場後は、マレーシア現地法人と共同で自社グループ産のドリアンを生産するプロジェクトや、日本では購入が難しいマレーシア産ドリアンの優良品種「ムサンキング種」等の販売を行う専門ECの開設、日本の伝統産品であるお茶の生産・販売、幼児・子ども向けの農業体験施設の開設などの新規事業を進める計画とのこと。


同社の代表取締役・西辻一真氏は、今回の上場を受け以下のコメントを寄せている。

「マイファームは、創業期からの『自産自消のできる社会を創る』という理念のもと自然と人の距離が近くなるような事業展開を行ってきました。創業は京都府久御山町にある耕作放棄地を再生させた農地で、農業体験を行う農園からスタートをしました。

その後、利用者の方の声を生かしてアグリイノベーション大学校という農業学校を立ち上げ、その卒業生が安心して農業ができる環境を作るために流通・小売事業に乗り出し、さらに雇用の場を作るため生産・コンサル事業へと拡大をしてきました。この歩みの中で一貫していることは常に人に寄り添い成長を伴走していくスタンスであり、農業全体が抱える問題も社会の課題も人の成長に鍵があるという考えのもと事業展開を図っており、このノウハウと人的資本は世界が抱える課題にすら解決の糸口となると信じております。

ここまで緩やかな成長をしてきましたが、事業拡大に伴って次の展開に必要なスキル・資格は『社会的に信用される会社であること』、『資金調達を柔軟に行うこと』でした。事業が複雑化・高度化するにつれて採用や人材育成における投資が必要になり、世界に進出するうえでの与信が必要になり、国内における農業課題の中で長期的な投資や運用が必要な事業への進出するための体力が必要になることを解決するためには上場するという選択肢が合理的だと判断をしました。

また、農業界は事業リスクが高く、利益率が低く、上場が難しいと思われています。しかし、今回の当社の上場をきっかけに多くの農業法人・農業ベンチャーが挑戦をする選択肢を経営の中に取り入れてもらえれば、と考えておりますし、きちんと内部統制や会計基準を満たした運営をしていることを社会に見せることは業界全体にとっても重要だと考えています」。


株式会社マイファーム
https://myfarm.co.jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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