横浜市とNTT東日本、新Wi-Fi規格「IEEE 802.11ah」の農業での実証を開始

横浜市、NTT東日本、苅部農園の3者は共同で、広範エリアの農場をカバーする新たなWi-Fi規格「IEEE 802.11ah(Wi-Fi HaLow™)」の活用実証を開始する。

遠隔からの農産物の盗難防止や鳥獣被害防止に活用し、「IEEE 802.11ah」による通信の検証を行う。期間は2023年12月中旬から2024年1月31日までの予定だ。


スマート農業の普及に貢献


「IEEE 802.11ah(Wi-Fi HaLow™)」は、920MHz帯等1GHz以下の周波数を利用する通信手段のひとつで、特にIoTの通信システムとしてさまざまな分野で活用が期待される新しい種類のWi-Fi規格だ。

今回の活用実証は、横浜市が運営する「I・TOP横浜ラボ」の「都市部でのスマート農業」に関する実証プロジェクトの一環で実施するもの。「I・TOP横浜ラボ」とは、横浜経済の強みである「ものづくり・IT産業の集積」を生かし、IoT、ビッグデータ、AI、ロボット等を活用したビジネスを創出するプラットフォームで、「新たなビジネスモデル創出」、「中小企業のチャレンジ支援」、「社会課題解決への貢献」の3つを目標に、実証実験の機会や実証フィールドの提供を行っている。

実証場所となるのは、横浜市保土ケ谷区で年間約100品目の農作物を栽培する苅部農園だ。

同農園の農産物直売所や複数の圃場を対象に監視カメラと「IEEE 802.11ah」アクセスポイント(子機)を設置。事務所と圃場の距離は約200m程度を想定し、「IEEE 802.11ah」アクセスポイント(親機)を設置した事務所からパソコンやスマートフォンで圃場内の様子を確認するという。

システム構成イメージ図

機器設置イメージ図

検証内容は以下の通り。
  • 従来のWi-Fiと比較した遠距離における映像データの通信状況把握
  • アクセスポイント間のマルチホップによる映像データの通信状況把握
  • 監視カメラのモーション検知・アラーム通知機能を活用した不法投棄、農作物盗難の早期把握
  • 映像データの蓄積・活用による鳥獣害対策(電気柵の設置や捕獲等)の実施への裏付け
 
3者は今回の実証実験を通じ、広範囲の農場をカバーする無線を構築することで、スマート農業の普及に貢献したい考えだ。


「I・TOP横浜ラボ」
https://itop.yokohama/
SHARE

最新の記事をFacebook・メールで
簡単に読むことが出来ます。

WRITER LIST

  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
パックごはん定期便