ENEGGO株式会社は、卵の殻の内側についている薄膜「卵殻膜」を原料とした液体肥料「オーガナブル」を2023年12月2日に発売した。

植物の成長に重要なL型アミノ酸が豊富に含まれているほか、これまで活用されていなかった卵殻膜を使用する環境配慮型の製品となっている。

特許技術で卵殻膜からL型アミノ酸を抽出

ENEGGOは、2022年に創業した佐賀発の液体肥料メーカー。卵殻・卵殻膜のアップサイクルを切り口に、化学肥料使用量低減と作物収量増加の両立をミッションに掲げ、世界の農業が抱える問題の解決に取り組んでいる。

近年、卵殻膜は化粧品やサプリメントの原料としても使用され、栄養分を豊富に含むスーパー素材として注目を集めている。ENEGGOは、この卵殻膜に植物の成長に重要なL型アミノ酸18種が含まれていることに着目。卵殻膜の成分は70%以上がタンパク質であり、特許技術でこのタンパク質をアミノ酸にまで分解し、18種のL型アミノ酸として「オーガナブル」に配合している。


植物は光合成によって自らの体内でアミノ酸を合成し、生育に必要なタンパク質を作っているが、天候不良や高温・低温で植物にストレスがかかり光合成が不十分になるとアミノ酸を合成する力が弱まる。

そのため、液肥としてアミノ酸を直接与えることが植物の生育の手助けになる。他にも、アミノ酸には植物の耐病性・耐ストレス性を高める効果があることが数多く報告されているという。

また、日本は世界でも有数の卵の消費量を誇るが、背景には大量に廃棄される卵殻と、割卵業者が負担する多額の産廃費用の存在がある。

同社はこの問題に着目し、国内各地の割卵業者から従来産廃として処分されていた卵殻を買い取り、原料となる卵殻膜を調達するビジネスモデルを構築。割卵業者から回収された卵殻は、同社の設備にて卵殻と卵殻膜に分離し、卵殻膜は液体肥料の原料として使用され、卵殻膜を採取した後の卵殻も製品のボトルに配合することで、石油由来の樹脂使用量を削減している。

「オーガナブル」は「すべての家庭園芸用」「バラ・花用」「観葉植物用」と、家庭園芸用3種でのスタートとなるが、今後は農業用も含め、ラインナップを拡大していくとのこと。

ENEGGO株式会社
https://eneggo.com/