アクポニ、3日間の対面指導を行う「アクアポニックス農場研修サービス」をスタート

株式会社アクポニは、同社が提供するアクアポニックスのシステム導入事業者向けに、3日間の対面指導を行う「アクアポニックス農場研修サービス」を2024年3月1日より開始した。生産技術の早期習得と助成金申請支援など、システム導入初期のサポートを行う。


マンツーマンで3日間の対面指導を実施


アクポニは、アクアポニックスの製品開発などを手がける企業。農場への導入・運用支援、専門教育の「アクアポニックス・アカデミー」運営、導入計画や生産管理のコンサルテーションなども提供している。

アクアポニックスとは、水耕栽培と水産養殖を組み合わせた無農薬・無化学肥料の農業手法。土耕農法と比較して同面積で約7倍の収量を実現し、約80%の節水が可能であるなど、ライフサイクルアセスメントによる環境負荷の低減が特徴の一つだ。


同社は以前より神奈川県藤沢市の自社農場にて講習を行ってきたが、導入事業者ごとに農場のレイアウトや作物、資機材などの環境が異なり、カスタマイズされた指導の要望が多かったことから、「農場研修サービス」の開発に至った。

また、これまで全国47農園の開設に携わるなかで、植物に欠乏症が出たり、魚が死んでしまったりといったトラブルが運用の初期段階に起きやすいことがわかったという。

今回提供を開始した「農場研修サービス」では、アクポニのシステム導入事業者を対象に、同社のスタッフが施工先の農場を訪問し、マンツーマンで3日間の対面指導を実施する。研修内容は、野菜の栽培管理や魚の飼育管理、水質検査の方法に加え、資機材の定期的なメンテナンスや発生しうるトラブルの対処法まで、実践的な知識と技術の習得を目指す。

その他、新規事業としてアクアポニックスを導入する場合、人材開発支援助成金の活用を促し、助成金申請のサポートも提供する。

価格は農場の規模により変動するものの、基本的には40万円(税込)からで、サービス期間は3日間、計13時間(座学3時間、実習10時間)となっている。

さらに、センサーやアプリ等を用いて遠隔でアドバイスを行う生産管理支援サービスと組み合わせることで、継続的なサポートも可能とのこと。

「農場研修サービス」の申し込みや問い合わせは、アクポニ公式サイトの問い合わせより受け付けている。

【体験者の声】株式会社アシストプラン


農場所在地:長野県小布施町
農場面積:153平方メートル
農場モデル:太陽光型DFT(湛液型水耕法)システム
・システム導入後、1回目の定植作業のタイミングで研修を実施
・レタス、水菜、コマツナなどを定植

研修内容
・水質検査
・必要肥料の計算と施肥方法
・培地への播種方法と育苗環境
・病害虫予防と対策
・日常点検、資機材の操作方法
・想定されるトラブルと対処法

株式会社アシストプラン 飯田氏のコメント
私たちはコンピュータソフト開発の会社です。新規事業開拓を目的とし、アクアポニックスを始めました。 「食」は私たちの健康を支える基盤です。特に野菜の水耕栽培は持続可能な食糧生産や食の安定供給に貢献すると考え、安全・安心で高品質な野菜を栽培し提供することを目指し取り組んでいます。

2023年5月に行政へ農場設置の申請を行い、9月にアクポニ農場を設置、10月下旬から魚投入後水を作りはじめ、12月に野菜苗を植え付けました。 研修は実践的な内容で、非常に充実したカリキュラムでした。特に水質管理の方法と施肥の方法について理解できたのが良かったです。

その後も野菜は順調に育ち、えぐみの少なく食べやすい、元気な野菜を収穫することができました。地元の農家さんや飲食店に持って行ったところ、実際に食していただいた方からも好評でした。今後はより多様な作物を栽培し、地域社会に持続可能な食糧を提供していきたいと考えています。

アクポニは、同サービスを通じて、異常検知の早期化だけでなく「原因分析」や「予測」といったスキルの習得をサポートすることで、安定生産を実現していきたいとしている。


株式会社アクポニ
https://aquaponics.co.jp
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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