薬剤散布から播種まで! 日本で購入できる農業用ドローンカタログ<2022年版>

農業用ドローンとは?

農業用ドローンは、農薬や肥料の散布に使用するタンクやノズルを搭載したマルチローター型の無人航空機です。現在日本では、農業人口の減少や農業者の高齢化等を背景に、ロボットやAI、IoT、ドローン等の先端技術を活用したスマート農業の普及が進められています。

一般的なドローン。撮影が主な目的で、飛行場所が多岐に渡るため、障害物検知などの安全装備が充実している


農業用ドローンは、散布用のタンクを備え、重量があることからサイズも大きめ。散布用のノズルなどが下部に備わる

農林水産省は、農業用ドローンの普及拡大に向けた施策として、2019年に「農業用ドローン普及計画」を策定。実証実験の実施やオペレーターを育成するスクール向けの助成金の創設等を通じて、その利用を促進しています。

また、最近では、高いセキュリティ機能を備えた高性能な農業用ドローンの開発を目指すコンソーシアムも発足。散布の精度向上など、農業生産の省力化・効率化に向けた取り組みやドローンで撮影した圃場の画像を分析して、農作物の生育状況や病害虫の発生等を可視化する技術の開発が進められています。

2022年には、航空法の改正により100g以上のドローンは登録が必須となり、ライセンス制度もスタートするなど、より専門的な手続きや知識が必要となってきました。どんなドローンが販売されているのか、どんな特徴があるのか、自分に合うドローンはどれかといった、最適なドローンを選ぶ手助けとなれば幸いです。


農業用ドローンの機能

農業用ドローンの機能は主に以下の3つです。

  1. 農薬の散布
  2. 肥料の散布
  3. コメや麦などの種まき(播種)

いずれも液体や固体をドローンに積載し、それらを散布するもののため、必然的にドローンのサイズも大きくなります。1回の飛行の目安は1haあたりに散布できることを基準として、ローターのパワー、バッテリー容量、積載タンクの容量などによって大きさや価格が変わってきます。

機能としては、GPSやRTKなどによりドローンの位置を正確に把握し、自動直進、自動ターン、さらには指定した圃場内を自動飛行で散布することも可能です。これらの機能も価格や目的によってドローンごとに異なりますが、最近のドローンは人間が直接操縦する技術はそれほど必要なく、人間に求められるのは周囲の安全確認や緊急時の操作などです。

飛行に必要なライセンスは、使用するドローンのメーカーによって異なりますが、農薬は航空法が定める「危険物輸送」、「物件投下」に該当するため、散布予定日の10開庁日前までに、国土交通省の地方航空局長の許可を得る必要があります。

詳細は、農林水産省が定めるガイドラインに記載されていますので、これを参考に散布計画を立てれば良いでしょう。

参考:無人マルチローターによる農薬の空中散布に係る安全ガイドライン[PDF]
https://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/boujyo/attach/pdf/120507_heri_mujin-132.pdf

ちなみに、圃場の画像や映像を撮影して生育状況や雑草・病害虫などの状況を把握するセンシングもドローンで行いますが、こちらは農業用ドローンほどのサイズは必要なく、カメラを搭載した小型ドローンが用いられています。散布機能などを持つ農業用ドローンにカメラを搭載しているものはほとんどなく、センシングと散布は切り分けて考えることが一般的です。


日本国内で入手可能な農業用ドローン一覧


ここからは、日本国内で入手可能な農業用ドローンをご紹介していきます。
※2022年3月時点。各機種の最新情報はメーカーサイトを参照のこと。画像等は公式サイトから引用。

1.ciDrone AG R-17(ciRobotics)

特徴
17リットルタンクを搭載した大規模農家向けモデル。
自立散布システムモードを使用すれば、A地点、B地点を設定するだけで農薬を自動で散布できる。

規格:1630×1630×555㎜(広げた状態)
重量:15kg(バッテリーなし)
散布面積:1本のバッテリーで2ha
https://www.cidrone.jp/product/


2.ciDrone AG (ciRobotics)

特徴
オートモード、セミオートモード、マニュアルプラスモードの3つの散布機能を搭載。
農薬散布に適したプロペラを採用しているため、風の影響を最小限に抑えることができる。

規格:1300×1300×570mm(広げた状態)
重量:10.9kg(バッテリーなし)
散布面積:1回の飛行(10~15分)で1ha以上
https://www.cidrone.jp/product/

 

3.Agras T30(DJI JAPAN)


特徴

新しいインテリジェントルートモードは、各操作に最適なルートを個別に計画。
自動航行中は残りの薬剤量をリアルタイムで表示し、適切な補充ポイントと作業時間を示す。

規格:2858×2685×790mm(広げた状態)
重量:26.4 kg(バッテリーなし)
散布面積:1時間あたり最大16ha
https://www.dji.com/jp/t30


4.AGRAS T20(DJI JAPAN)
特徴

センチメートルレベルの精度を誇るRTK測位システムを搭載。
経由地点をセンチメートル単位で記録できる。

規格:2509×2213×732 mm(広げた状態)
重量:23.1kg(バッテリーなし)
散布面積:1時間あたり最大12ha
https://www.dji.com/jp/t20/


5.AGR16B・AGR24B(Drone Work System)


特徴
軽自動車に最大4台積載できるコンパクト設計。
同時通話対応インカムとFPVカメラを使用した2オペレーター散布が可能。

アーム展開時軸間:AGR16B/1600mm、AGR24B/1700mm
重量:AGR16B/17.9kg、AGR24B/20.8kg(バッテリー含む)
最大搭載容量:AGR16B/16リットル、AGR24B/24リットル
使用バッテリー:AGR16B/12セルバッテリー22000mAh×1、AGR24B/12セルバッテリー16000mAh×2
https://d-w-s.co.jp/product-introduction/agrdrone/agr16b24b


6.DWS-C10(Drone Work System)

特徴
防⽔防塵ボディを備えた低コストモデル。散布幅4m。
自社設計のコントローラーを使用した安定的な飛行が特徴。

輸送時寸法:680×650×595mm
重量:14.8kg(バッテリー含む)
搭載容量:10リットル
散布飛行速度:15km/h
https://d-w-s.co.jp/product-introduction/agrdrone/dws-c10


7.エアロスプレーヤーAS5Ⅱ(EAMS ROBOTICS)

特徴
狭小地での使用が可能な小型モデル。世界中のGNSSに対応する。
散布⼱は最⼤約4m。

軸間:1060mm
最大離陸重量:15.9kg
積載量:5.0リットル
散布時飛行時間:12分
https://eams-robo.co.jp/products.html#agriculture


8.エアロスプレーヤーAS10(EAMS ROBOTICS)

特徴
Windows対応のタブレット操作が特徴。画面は10インチ、12インチの2つから選択できる。
粒剤対応のアタッチメントも用意。

軸間:1501mm
最大離陸重量:28.4kg
積載量:10リットル(推奨8リットル)
散布時飛行時間:15分
https://eams-robo.co.jp/products.html#agriculture


9.Agri-Flyer(IER・⽯川エナジーリサーチ)



特徴
⾃動離着陸機能、⾃動横移動機能、コースロック機能(直進機能)など、農薬散布のために開発されたアシスト機能付き。タンクを取り外して丸洗いすることもできる。

ローター軸間:1360mm
重量:16.9kg(バッテリー含む)
散布面積:約10分で1ha
http://ier.co.jp/products-detail.php?f=c99b034ebc9417beb31ee83b3828da05


10.P20(XAG JAPAN)

特徴
スマートフォンの専⽤アプリを使用して操作。
⽔稲、果樹、フリールートなど栽培する作物や圃場に合わせた飛行が可能。

規格:1852×1828×403mm(広げた状態)
重量:13.1kg(バッテリー、タンク含まず)
液体タンク:10リットル
最大作業速度:12m/s(約43km/h)
https://www.xa.com/jp/pseries


11.P30(XAG JAPAN)

特徴
粒剤散布機能を追加した「P20」の上位モデル。
水田の直播にも使用できる。

規格:2018×2013×390mm(広げた状態)
重量:16.05kg(バッテリー、タンク含まず)
液体タンク:16リットル
最大作業速度:12m/s(約43km/h)
https://www.xa.com/jp/pseries


12.AC101(NTT e-Drone Technology)


特徴
「軽量・コンパクト・低燃費」の3つをコンセプトに開発したモデル。
1つのバッテリーで2.5haの散布が可能。

規格:935×935×676mm(広げた状態)
重量:7.3kg(バッテリーなし)
散布面積:1バッテリーで最大2.5ha
https://e-drone.tech/


13.T10K(クボタ)



特徴

一人でも楽に持ち上げられる軽量かつコンパクトなサイズ。
ほこりや光の干渉に関係なく、障害物や周囲を認識。スマートな障害物回避が可能。

規格:1958×1833×553mm(広げた状態)
重量:13g(バッテリーなし)
タンク容量:液剤8リットル、粒剤10kg
散布速度:18~22.5km/h(液剤)、22.5km/h(粒剤)
https://agriculture.kubota.co.jp/product/kanren/t10k/


14.T30K(クボタ)

特徴
1フライトで最大2.0ha/約12分の作業が可能。
新設計のプランジャーポンプ。小型で軽量、 腐食にも強く、最大吐出量は7.2ℓ/minにアップ。

規格:2858×2685×790mm(広げた状態)
重量:26.3g(バッテリーなし)
タンク容量:液剤30リットル、粒剤40kg
散布速度:15~22.5km/h(液剤)、22.5km/h(粒剤)
https://agriculture.kubota.co.jp/product/kanren/t30k/


15.KATANA12D1750F(SAiTOTEC)



特徴
本体とオプションの組み合わせにより、さまざまな用途に対応。
農薬散布と農作物の運搬作業が行えるカスタマイズ型ドローンで最大積載量は140kg。

規格:1870×1650×930mm(広げた状態)
重量:30kg(バッテリーなし)
最大搭載荷重:80kg(ホバリング時)
飛行速度:60km/h(運搬時30km/h)
https://saitotec.com/products/katana/katana-12d1750f/


16.TA408-F(TEAD)

特徴
散布アシスタント農業用ドローン。
自動飛行モード搭載。専用アプリによる各種サポート機能により、操縦者の負担を軽減すると共に均一散布を実現。

規格:1115×1115×600mm(広げた状態)
重量:16.7Kg(バッテリー含む)
散布面積:1ha/12分
https://www.tead.co.jp/product/ta408-f/


17.M4E(TTA JAPAN)

特徴
完全モジュール化され、万が一の破損時の修理も簡単。
Googlemapを利用した完全自動航行を実現。独自開発のクイックアームロック機能により手早く飛行準備を行うことができる。

規格:1350×1350×485mm(広げた状態)
重量:7kg(バッテリーなし)
積載可能重量:5kg
最大飛行時間:15分
http://www.ttajapan.com/product/m4e/


18.G200(TTA JAPAN)

特徴
FPVカメラ、夜間⾶⾏ライト、障害物センサー等を搭載したGPS+RTKモデル。
農薬散布専⽤アプリによる⾃動⾶⾏が可能。

規格:1808×1566×680mm(広げた状態)
重量:19.4kg(バッテリーなし)
積載可能重量:16kg
最大飛行時間:25分
http://www.ttajapan.com/product/g200-rtk16l%e3%83%a2%e3%83%87%e3%83%ab%ef%bc%89/


19.ヘリオスアグリ5(東京ドローンプラス)

特徴
軽トラックにも軽々乗せられる山間地向けの小型モデル。
4a以下の圃場におすすめ。

規格:1404×1215×435mm(広げた状態)
重量:4.5kg(バッテリーなし)
最大飛行時間:15分 ※5リットル散布時6分
最大吐出量:毎分/0.8リットル
https://tdplus.jp/agricultural-drone/heliosagri5/


20.ヘリオスアグリ10(東京ドローンプラス)

特徴
ヘリオスアグリシリーズの10リットルモデル。
農薬搭載容量が多いため、より大きな圃場で使用できる。

規格:2198×2250×548mm(広げた状態)
重量:10.3kg(バッテリーなし)
最大飛行時間:23分 ※10リットル散布時11分
最大吐出量:毎分/1.0~3.0リットル
https://tdplus.jp/agricultural-drone/heliosagri10/


21.ヘリオスアグリ 16

特徴
2021年8月に発売されたヘリオスシリーズの最上位機種。
2haに連続散布可能。大規模農家向けの16リットルタンクが特徴。

規格:1800×1800×600mm(広げた状態)
重量:15.3kg(バッテリーなし)
最大飛行時間:19分 ※16リットル散布時13分
最大吐出量:毎分/0.8リットル
https://tdplus.jp/agricultural-drone/heliosagri16/


22.TSV-AQ2(東光鉄⼯)

特徴
2021年発売の農業用ドローン。播種作業や受粉作業にも使用できる。
液剤・粒剤共に10L積載・散布可能。機体の水洗いも可能で作業性に優れている。

規格:1150×1150×670mm(広げた状態)
重量:10.7kg(バッテリーなし)
タンク最大容量:10リットル
最大飛行時間:15分
https://tokouav.jp/product/tsv-aq2/

 

 

23.Nile-T20(ナイルワークス)

特徴
測量した圃場データを参考に散布ルートは⾃動で⽣成。
株元散布など使用する農薬の特徴に応じた散布が行える。搭載カメラを使用した圃場センシングも可能。

規格:1850×1440×830mm
重量:18.5kg(バッテリー含む)
散布面積:1ha/15分
https://www.nileworks.co.jp/product/nile-t20/


24.FLIGHTS-AG V2(FLIGHTS)

特徴
粒径0.5〜6mmの粒剤に対応。10kgの大容量タンクを持ち、1haの散布を約10分で行える。
⼿動で⾶⾏し⾃動で散布するM+モード機能付き。

モーター軸間距離:1400mm
重量:16.5kg(バッテリー含む)
散布面積:1ha/約10分
https://flights-ag.com/


25.スカイマスターMMC1060(丸⼭製作所)

特徴
j防除機メーカー「丸山製作所」による農業用に特化した扱いやすい機体。
バッテリ容量を増やし、プロペラ径とモーターを大きくすることでタンク5リットルを余裕を持って散布できる。

規格:987×1129×548mm
重量:7.5kg(バッテリーなし)※乾燥質量
タンク容量:5リットル
飛行時間:約15分
http://www.maruyama.co.jp/products/42/index.html


26.⾶助MG・DX(MAZEX)

特徴
特許を取得した4枚プロペラ&前後ノズル切替の散布システムを採用。
さまざまな状況に応じて直感的に操作できる独⾃の制御装置も備えており、直進アシスト・⾃動⾶⾏・連動散布も標準で装備。

規格:1160×1160×620mm(広げた状態)
重量:14.9kg(バッテリーなし)
最大搭載重量:10kg
最大飛行速度:15km/h
https://mazex.jp/tobisukedx


27.⾶助mini(MAZEX)

特徴
飛助シリーズのコンパクトモデル。小型だが⼤型機クラス相当の飛行性能を誇る。
MG・DXモデルにも搭載されている⾃動⾶⾏、直進アシスト、連動散布機能も備えている。

規格:990×990×548mm(広げた状態)
重量:6.2kg(バッテリーなし)
1回散布最大面積:62.5a
https://mazex.jp/product/4809


28.YMR-08(ヤマハ発動機)

特徴
⼒強いダウンウォッシュを⽣み出す⼆重反転ローターを採用。
ノーマルモード、⾃動クルーズコントロールモード、⾃動ターンアシストモードの3つのモードから、圃場やオペレーターの状況にあわせた選択が可能。

規格:1923×2181×669mm(広げた状態)
最大離陸重量:24.9kg以下
最大タンク容量:10リットル
散布速度 :10~20km/h
https://www.yamaha-motor.co.jp/ums/multi/


29.YMR-08AP(ヤマハ発動機)

特徴
YMR-08を基本性能にオートパイロット機能を追加。
⾃動⽣成された散布ルートを忠実に⾶⾏し、オペレータのスキルによる散布のムラをなくす。

規格:1923×2181×702mm(広げた状態)
最大離陸重量:27.0kg以下
最大タンク容量:10リットル
散布速度 :13~20km/h
https://www.yamaha-motor.co.jp/ums/multi_ap/


 
SHARE

最新の記事をFacebook・メールで
簡単に読むことが出来ます。

RANKING

WRITER LIST

  1. 槇 紗加
    1998年生まれ。日本女子大卒。レモン農家になるため、大学卒業直前に小田原に移住し修行を始める。在学中は、食べチョクなど数社でマーケティングや営業を経験。その経験を活かして、農園のHPを作ったりオンライン販売を強化したりしています。将来は、レモンサワー農園を開きたい。
  2. 田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  3. さわちん
    2児の父。あるきっかけにより農業のイメージを変えたいと考え、16年間のサラリーマン生活にピリオドを打つことを決意。2020年春、家族で田舎に移住し、新規就農を目指す。自身が「移住×就農のモデルケース」となるために、いろんな方面へ向けて奮闘中。
  4. 福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  5. 窪田新之助
    農業ジャーナリスト。福岡県生まれ。日本経済新聞社が主催する農業とテクノロジーをテーマにしたグローバルイベント「AG/SUM(アグサム)」プロジェクトアドバイザー、ロボットビジネスを支援するNPO法人Robizyアドバイザー。著書に『日本発「ロボットAI農業」の凄い未来』『GDP 4%の日本農業は自動車産業を超える』(いずれも講談社)など。