【2024-2025年版】 農業用ドローン導入に活用できる、国・地方自治体の「補助金・助成金」まとめ

防除から播種まで、さまざまな用途で使われる農業用ドローン。便利な反面、導入費用はかなり高額なため、使いこなせなければせっかくの設備投資が無駄になってしまいます。

一方で、農業用ドローンの導入時には、スマート農業を推進するためのサポートを受けることも可能です。補助の形態には大きく分けて、農業用ドローンなどの機材・設備の導入や事業自体に充てられる「補助金」と、従業員の雇用や教育などの人に対する事業に充てられる「助成金」があります。

そこで本記事では、2024年度〜2025年度に実施された補助金・助成金制度をご紹介。すでに締め切られているものもありますが、これから申請できるものもありますので、今から予習していきましょう。



農業用ドローンの導入で補助を受けられるのはどんな人?


どの補助金を利用するかによって、補助を受けられる対象者は異なります。

例えば、農林水産省や地方自治体が実施する補助金では、認定農業者認定新規就農農業者が組織する団体などが対象となっています。

また、個人・法人問わず、従業員数20名以下の農業者であれば、経済産業省などが実施する小規模事業者向けの制度を利用することも可能です。

さらに、農業向けの支援サービスを始めたいと考えている事業者が利用できる補助金もあります。農業用ドローンを活用して、農薬散布の請負仕事や、ドローンパイロットとして新たな分野でのビジネスを検討している方なども補助の対象となります。


農業用ドローンの補助が受けられる時期は?



農業用ドローンの補助金にはさまざまな種類があり、実施時期もそれぞれで異なります。

農業では、主に春から秋にかけてが農業用ドローンを活用する最盛期です。その時期に使えるようになるために、購入から納品まで、さらに講習などを受ける期間を含めると、なるべく早めに動き出す必要があります。

多くの補助金は、その年の1月〜4月に締め切られるため、情報収集は秋から冬にかけて行うのがおすすめです。また、年間計画などが求められる補助金の場合は、1年ほど前から余裕をもって準備する必要があります。

どのような補助金が利用できそうなのかをピックアップするために、時間に余裕をもって情報収集をしておくことが大切です。本記事で紹介する補助事業を参考に、大まかなスケジュールを把握しておきましょう。


農業用ドローンにはどんな補助金がある?


農業用ドローンの補助金は、農林水産省が実施する「農地利用効率化等支援交付金」や「強い農業づくり総合支援交付金」、経済産業省が実施する「ものづくり補助金」などがあります。それ以外にも、地方自治体が独自で実施しているものもあります。

以下では、2024年度(令和6年度)に実施された補助金をいくつか紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。


国が実施している農業用ドローンの補助金・助成金


はじめに、国が実施していた農業用ドローンの補助金を紹介します。

●農地利用効率化等支援交付金[農林水産省]


経営改善の取り組みや規模拡大に必要な農業機械などを導入する際に利用できる制度です。「融資主体支援タイプ」と「条件不利地域支援タイプ」の2種類があり、経営スタイルや導入したい農業機械の規模に応じて適したものを選ぶことができます。

「融資主体支援タイプ」は、「農業経営基盤強化促進法」に定める地域計画の目標地図に位置付けられた農業者が融資を受けて、経営改善の取り組みに必要な農業機械・施設を導入する際に支援が受けられるものです。スマート農業優先枠というものが設けられており、ドローンなどを活用した労働力不足解消に取り組む農業者を支援します。

【融資主体支援タイプ】
対象者:農業経営基盤強化促進法に定める地域計画のうち目標地図に位置付けられた者
補助率:事業費の10分の3以内
補助上限額:300万円(必要な要件を満たす場合は600万円)

「条件不利地域支援タイプ」は、経営規模が小規模な地域において、農作業の共同化や農地の利用集積の促進といった取り組みに必要となる共同利用機械などの導入を支援するものです。3戸以上の農家が構成員に含まれている農事業組合法人や特定農業法人などが対象となります。

【条件不利地域支援タイプ】
対象者:農業者が組織する団体、参入法人、事業実施主体が認める団体
補助率:2分の1以内(農業用機械については3分の1以内)

2024年度(令和6年度)に実施された際には、国への提出期限が2024年(令和6年)3月8日、2025年度(令和7年度)は3月4日とされていました。申請は各市町村が行うため、応募期限は市町村によって異なります。

今後実施されるかも含め、詳細については市町村の農政担当部局や地方農政局などに問い合わせてみましょう。

2025年度(令和7年度)の情報はこちら
農地利用効率化等支援交付金(令和7年度)
https://www.maff.go.jp/j/keiei/sien/R7_nouchiriyou/index.html


●強い農業づくり総合支援交付金(農業支援サービス事業支援タイプ)[農林水産省]


農業支援サービス事業体の新規参入および既存事業者による新たなサービス事業の育成・普及を加速化させることを目的とした制度です。

わかりやすく言えば、農業者の作業代行や、農業機械のレンタル・サブスクリプションによる提供など、農業支援サービス事業の提供に必要な農業用機械の導入にかかる費用を支援します。

2024年度(令和6年度)の公募期間は1月26日〜2月20日、2025年度(令和7年度)は2月3日まででした。詳細について知りたい方は、農林水産省のホームページをチェックしてみてください。

【補助内容】
補助率:2分の1
限度額:1,500万円

令和6年度強い農業づくり総合支援交付金のうち農業支援サービス事業支援タイプについて
https://www.maff.go.jp/j/supply/hozyo/nousan/240126_376-1.html


●ものづくり補助金[経済産業省]


中小企業や小規模事業者の新製品開発などに必要な設備投資を支援する制度です。「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」の2つのタイプに分けられます。

【製品・サービス高付加価値化枠】
要件:革新的な新製品・新サービスの開発による高付加価値化
補助率:中小企業 2分の1、小規模・再生 3分の2
上限額:750万円~2500万円

【グローバル枠】
要件:海外事業の実施による国内の生産性向上
補助率:中小企業 2分の1、小規模 3分の2
上限額:3000万円

これまでに18回公募が行われており、農業用ドローンを活用した取り組みで採択された事例がいくつもあります。下記サイトから事例を検索できます。

中小企業庁「ものづくり補助金」 事例検索
https://portal.monodukuri-hojo.jp/jireisearch.aspx

直近に行われた公募の締め切りは、17次が2024年(令和6年)3月1日、18次が2024年(令和6年)3月27日でした。なお、2025年(令和7年)2月14日に第19回次の公募が開始されており、4月25日が締め切りとなっています。

中小企業庁「ものづくり補助金」
https://portal.monodukuri-hojo.jp/index.html


●小規模事業者持続化補助金(一般型)[中小企業庁]


小規模事業者が行う販路開拓などの取り組みにかかる経費の一部を補助する制度です。地域の雇用や産業を支える小規模事業者などの生産性向上と持続的な発展を図ることを目的としています。

小規模事業者持続化補助金は、農業者であっても申請可能となっていますが、系統出荷のみの個人農業者は対象外となっています。そのため、出荷先がJAのみの場合は申請することができない点には注意が必要です。

直近の第17回公募は2025年(令和7年)6月13日まで申請を受け付けています。最新の情報については、中小企業庁のホームページで確認しましょう。

【補助内容】
補助率:事業費の3分の2(賃金引上げ枠のうち赤字事業者は4分の3)
上限額:50万円(通常枠)

中小企業庁「小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>(第17回)」の公募要領(暫定版)を公開しました
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/shokibo/2025/250304jizoku_01.html


地方自治体が実施する農業用ドローンの補助金・助成金


ここからは、地方自治体が実施する農業用ドローンの補助金の例を見ていきましょう。「機体購入」「技術習得」「防除にかかる経費」の3つの用途に分類して紹介します。

農業用ドローンの機体購入に利用できる補助金・助成金


●山形県米沢市:米沢市未来を拓く農業支援事業

山形県米沢市で実施している補助金です。農林畜産物やその加工品の生産・流通・供給体制の確立と、意欲ある農業者の確保を図ることを目的としています。

5つの事業に分けられており、そのうちの先端技術活用支援事業でドローンの機体購入費用の補助を受けることが可能です。申請は農政課で随時行っており、毎月10日が締め切りとなっています。

ただし、申請額が予算に達した時点で締め切りとなるため、利用を検討している方は早めに問い合わせるようにしましょう。

【補助内容】
補助率:事業費の2分の1
上限額:50万円

山形県米沢市「米沢市未来を拓く農業支援事業」
https://www.city.yonezawa.yamagata.jp/soshiki/5/1021/3/1173.html


●岩手県八幡平市:八幡平市農の大地担い手育成支援事業

岩手県八幡平市では、市内の認定農業者・認定新規就農者の育成・確保を推進することを目的に、農業用機械などの導入を支援する制度を行っています。

機械等整備編ドローン講習受講料編の2種類があり、機体購入だけでなくドローン技術習得のための受講料の支援を受けることも可能です。 ※2025年(令和7年)2月21日に終了

【機械等整備編】
補助率:4分の1以内
上限額:300万円

【ドローン講習受講料編】
補助率:2分の1以内
上限額:1人あたり10万円(1経営体で2人まで)


ドローン技術の取得に利用できる補助金・助成金


●茨城県龍ケ崎市:令和6年度龍ケ崎市スマート農業導入加速化支援事業

茨城県龍ケ崎市では、スマート農業による農業経営の省力化や高品質生産を実現するための支援として、スマート農業導入に係る費用の一部を補助する制度を実施しています。

ドローンにおいては、操縦技能習得のための講習費用の一部が補助されます。 ※2025年(令和7年)2月28日で終了

【補助内容】
補助率:3分の1以内
補助上限額:20万円
※農産物の輸出に取り組む場合、補助率は2分の1以内、上限額は30万円


●岐阜県郡上市:農業生産団体等育成事業(農薬散布用ドローン資格取得助成)

岐阜県郡上市は、農作業の効率化および省力化を目的として、農薬散布用ドローンの資格取得、講習の受講などにかかった経費の一部を補助する制度を行っています。締め切りは設定されていませんが、申請可能かどうかについては郡上市の農林水産部農務水産課に問い合わせてみてください。

【補助内容】
補助率:対象経費の2分の1以内
上限額:10万円

岐阜県郡上市「農業生産団体等育成事業(農薬散布用ドローン資格取得助成)について」
https://www.city.gujo.gifu.jp/admin/info/post-1998.html


ドローン防除にかかる経費で利用できる補助金・助成金


●福島県矢吹町:ドローン等活用水田病害虫防除事業助成金

福島県の矢吹町では、ドローンなどを活用した水田の病害虫防除に必要な一部経費を助成する制度を実施しています。病害虫防除を外部委託した場合にも利用可能です。

詳細については、矢吹市の農業振興課農政係に問い合わせてみましょう。

【補助内容】
病害虫防除を行った面積10アールあたり200円
※100円未満の端数は切り捨て
※防除回数は、年度内1回限り

福島県矢吹町「ドローン等活用水田病害虫防除事業助成金のお知らせ」
https://www.town.yabuki.fukushima.jp/page/page010158.html


農業用ドローンの補助金を活用してビジネス拡大を図ろう


本記事では、農業用ドローンの導入などに活用できる補助金を紹介しました。

農業生産者の場合は、自分の圃場はもちろんのこと、近隣の防除などを請け負うビジネスで補助金を活用することも可能です。

また、ドローンパイロットとして農業分野に参入したいという方は、補助金を利用して講習を受けるなどすれば仕事の範囲がさらに広がるでしょう。

2025年は食用米の作付けの拡大も見込まれており、ドローン防除のニーズもさらに高まっていくと予想されます。生産者として、あるいはドローンパイロットとして、農業分野での新たなビジネス展開に向けて、補助金を上手に活用していきましょう。


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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
  4. 鈴木かゆ
    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
  5. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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