マゼックスとWHDCアクロディア、ドローンの国産次世代型フライトコントローラーを開発

WHDCアクロディア株式会社と株式会社マゼックスは共同で、ドローンの姿勢や速度などを制御する「次世代型フライトコントローラー」の開発を開始した。これにより、ドローンの飛行安定性と精度が向上し、日本国内における農業、林業、災害対応など幅広い分野での活用が期待される。

マゼックスは「飛助」シリーズをはじめとする農業用ドローンの代表的なメーカー

AI技術を活用して高度な姿勢・速度制御を実現


少子高齢化や人口減少が進む日本では、農業や林業の衰退、自然災害の頻発などの問題が深刻化している。この解決策として、信頼性が高く低コストな国産ドローンの開発が急務となっているという。特に日本特有の環境では海外製ドローンでは対応しづらい場合があり、国内のニーズに適したドローンの需要が増加すると予想されている。

複数のプロペラを個別に制御して飛行するマルチローター型ドローンは、ジャイロセンサーや加速度センサー、座標情報による高度な演算と迅速な応答が必要だ。産業用ドローンでは高精度な姿勢制御が求められ、用途に応じて高精度なRTK-GPSや光学ジャイロセンサーの選択が必要となるが、構造が複雑で重く高価なため、搭載できるドローンに制約がある。

さらに、ドローン分野における海外依存リスクも考慮する必要があり、その品質やセキュリティ、有事の際の入手性に対する懸念などのリスクがあるという。

そこでWHDCアクロディアは、国内で産業用大型ドローンを製造しているマゼックスと共同で、次世代型フライトコントローラの開発を行うことにした。

今回の開発では、基幹部品であるフライトコントローラを国産化することで、サプライチェーンの安定化を図り、長期的な視点でのコスト競争力強化を目指す。また、最新のIMUセンサや演算処理ユニットを採用することで、フライトコントローラの小型・軽量化を図り、さまざまなサイズのドローンへの搭載を可能にする。

深層学習などのAI技術も導入し、センサー情報に基づいたより高度で柔軟な姿勢・速度制御を実現することで、突発的な外乱に対する安定性の向上や、より精密な作業が行えるようになるという。

WHDCアクロディアとマゼックスは、それぞれの強みを活かし、早期の実用化を目指して開発を進めていく。これにより、高性能で信頼性の高い国産ドローンの普及を促進し、各産業分野の課題解決に貢献していきたいとしている。


WHDCアクロディア株式会社
https://acrodea.co.jp
株式会社マゼックス
https://mazex.jp
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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