年6回収穫も可能な水耕稲作品種「みずのゆめ稲」が実証成功

株式会社あゆちは、完全無農薬・多段式・短期収穫を可能にする水耕栽培技術を開発し、新品種「みずのゆめ稲」によるコメの生産に成功した。

超矮性で早生型の特性を持つことから、省スペースでの高密度栽培が可能となり、これまで困難とされていた室内での稲の安定栽培を実現した。

イメージ図

従来の「田んぼ」に依存しない新たな主食生産モデル


株式会社あゆちは、水耕栽培技術の研究・開発などを行う企業で、水耕栽培システムや栽培ノウハウを提供している。

同社が数年かけて育種・研究した「みずのゆめ稲」は、草丈15~20cmで、栽培期間約2カ月の超矮性・早生品種だ。この特性により、野菜のような多段式の水耕栽培が可能となり、狭い空間でも高密度かつ無農薬で、最大年6回の収穫(6期作)を目指すことができる。


今回行われた実証では、閉鎖型施設内において、独自設計の栽培槽・LED照明・液肥配合を活用し、農薬を一切使わずに安定した育成と収穫を実現した。

完全な商品化にはさらなる検証が必要となるが、災害・気候変動・インフラ未整備・戦時下など、さまざまな不安定な環境下での稲作を可能にし、世界的な食料問題に対応する新たな主食生産モデルとして注目されているという。

また、完全無農薬で栽培できるため、環境負荷の低減や健康志向の高まりといった社会的ニーズにも合致している。



あゆちは、今後、環境制御技術の最適化や品種特性の解析をさらに進め、より確実かつ持続可能な量産体制の構築を目指していく。また、同技術に関心を持つ企業・研究機関・自治体との連携についても、積極的に検討していくという。


株式会社あゆち
https://www.ayuchi-mizunoyume.com/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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