すべての農家必見! 匠のノウハウを守り広げるための「農業分野におけるAI・データに関する契約ガイドライン」公開
スマート農業の推進が行われている中で、AIサービス利用促進のために検討されていた「農業分野におけるAI・データに関する契約ガイドライン」が、2020年3月12日に正式に公開された。
そうした不安を払拭し、生産者が農業機械メーカーなどに安心してデータを提供し、農業データの利用促進を進められるようにするため、ルール整備の必要性を検討しガイドラインを策定することになった。同ガイドラインに準拠した契約であれば生産者のノウハウが保護されることを理解してもらうために、契約の考え方やひな形をわかりやすく解説するものが、今回発表された「農業分野におけるAI・データに関する契約ガイドライン」だ。
なお、同ガイドラインで規定しているのは、価値を定めることが難しい「データ」について、契約によってあらかじめ定めておかなくてはならない事項を示すものであり、契約の自由を制約するものではない。
ガイドラインは、AI製品・サービスの研究開発や利用における農業関係者のノウハウ・データの利用権限に関する考え方などを明記した「ノウハウ活用編(AI編)」、農業関係者からのデータを研究機関や農機メーカーが受け取る場合など、生産者の利益に配慮した「データ利活用編(データ編)」の2編から構成される。
「ノウハウ活用編(AI編)」には、農業におけるAI利用の意義や、そのAIを活用した製品・サービスに関する契約等について規定されており、知的財産の所有に関する事項や、AI研究開発者、第三者などを当事者として結ぶべき契約の内容、個人情報やAIのノウハウなどについて詳細に説明されている。知的財産の問題、法人格のない農業団体の扱いの問題、AIの研究開発などにおいて、生産者が不利益を被らないようにするための情報などがまとめられている。
例えば、農薬散布支援サービスの研究開発、熟練農家のノウハウをコンテンツ化したサービスなどの例を挙げ、契約形態や契約にあたっての留意事項を整理しており、農家自身が研究・開発に関わる際に身につけておくべきユースケースとともに紹介されている。
「データ利活用編(データ編)」では、経済産業省の「AI・データ契約ガイドライン データ編」との関係や、データ流出や不正利用防止の手段、対価・支払い条件、責任制限、秘密保持義務といったデータを活用するうえで農家が知っておくべき内容を明記。データの扱い方に応じて、「データ提供型契約」「データ創出型」「データ共有型」といった契約のポイントが整理されている。
ユースケースでは、農業者、ITベンダー、農業試験場などが関わる研究のケースや、複数の農業者のデータを集めたITベンダーが別の農業者にデータを販売するようなケース、「WAGRI」のようにクラウドサーバーで多数のデータを集めて活用するようなケースなども紹介されている。
さらに、実際に生産者が企業などと契約を結ぶ際に便利な「モデル契約書案及びタームシート」、全体的な概要を紹介した「概要資料」、要点をまとめた「パンフレット(農業分野のノウハウの保護とデータ利活用促進のために)」なども、農林水産省のホームページで公開されている。
データ利用促進のために提供したデータに問題があった場合など様々なトラブルを回避し、関係者間でのデータの取り扱いの権限や対価の設定などがしやすいよう、契約の考え方やひな形、利用ケースを充実させている。
大切なのは、農家が持っているデータの活用について、双方の理解不足によるトラブルを回避し、契約によって利用範囲や対価などをしっかり設定することにある。農業の特殊性を踏まえた契約の方法を、農家側もITベンダー側も理解することが、スマート農業の発展と普及において求められている。
農林水産省 農業分野におけるAI・データに関する契約ガイドラインについて
https://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/chizai/200312.html
農林水産省 農業分野のノウハウ保護とデータ利活用のために
https://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/chizai/attach/pdf/200312-1.pdf
ガイドラインの趣旨
スマート農業を普及するためには、農業分野におけるビッグデータやAIの利用促進が必要である。しかし、栽培管理のデータのように生産者が持っているノウハウは、データとして競合産地へ流出してしまう恐れがある。そのため、第三者へのデータ提供に関して消極的になってしまい、データを得ることが難しくなるといった問題があった。そうした不安を払拭し、生産者が農業機械メーカーなどに安心してデータを提供し、農業データの利用促進を進められるようにするため、ルール整備の必要性を検討しガイドラインを策定することになった。同ガイドラインに準拠した契約であれば生産者のノウハウが保護されることを理解してもらうために、契約の考え方やひな形をわかりやすく解説するものが、今回発表された「農業分野におけるAI・データに関する契約ガイドライン」だ。
なお、同ガイドラインで規定しているのは、価値を定めることが難しい「データ」について、契約によってあらかじめ定めておかなくてはならない事項を示すものであり、契約の自由を制約するものではない。
農業分野におけるAI・データに関する契約ガイドラインについて
同ガイドラインは、2018年12月に発表された「農業分野におけるデータ契約のガイドライン」に、AIに関するガイドラインを追加、生産者が利用する際の利便性を高めるためルールを一本化したものだ。ガイドラインは、AI製品・サービスの研究開発や利用における農業関係者のノウハウ・データの利用権限に関する考え方などを明記した「ノウハウ活用編(AI編)」、農業関係者からのデータを研究機関や農機メーカーが受け取る場合など、生産者の利益に配慮した「データ利活用編(データ編)」の2編から構成される。
「ノウハウ活用編(AI編)」には、農業におけるAI利用の意義や、そのAIを活用した製品・サービスに関する契約等について規定されており、知的財産の所有に関する事項や、AI研究開発者、第三者などを当事者として結ぶべき契約の内容、個人情報やAIのノウハウなどについて詳細に説明されている。知的財産の問題、法人格のない農業団体の扱いの問題、AIの研究開発などにおいて、生産者が不利益を被らないようにするための情報などがまとめられている。
例えば、農薬散布支援サービスの研究開発、熟練農家のノウハウをコンテンツ化したサービスなどの例を挙げ、契約形態や契約にあたっての留意事項を整理しており、農家自身が研究・開発に関わる際に身につけておくべきユースケースとともに紹介されている。
「データ利活用編(データ編)」では、経済産業省の「AI・データ契約ガイドライン データ編」との関係や、データ流出や不正利用防止の手段、対価・支払い条件、責任制限、秘密保持義務といったデータを活用するうえで農家が知っておくべき内容を明記。データの扱い方に応じて、「データ提供型契約」「データ創出型」「データ共有型」といった契約のポイントが整理されている。
ユースケースでは、農業者、ITベンダー、農業試験場などが関わる研究のケースや、複数の農業者のデータを集めたITベンダーが別の農業者にデータを販売するようなケース、「WAGRI」のようにクラウドサーバーで多数のデータを集めて活用するようなケースなども紹介されている。
さらに、実際に生産者が企業などと契約を結ぶ際に便利な「モデル契約書案及びタームシート」、全体的な概要を紹介した「概要資料」、要点をまとめた「パンフレット(農業分野のノウハウの保護とデータ利活用促進のために)」なども、農林水産省のホームページで公開されている。
匠の技術と知見を守り、農業発展に活用するために
策定されたガイドラインは、生産者のデータをスマート農業事業者が利用する場合や、生産者のデータを研究機関に提供する際の二者間の契約などに適用することが想定されている。データ利用促進のために提供したデータに問題があった場合など様々なトラブルを回避し、関係者間でのデータの取り扱いの権限や対価の設定などがしやすいよう、契約の考え方やひな形、利用ケースを充実させている。
大切なのは、農家が持っているデータの活用について、双方の理解不足によるトラブルを回避し、契約によって利用範囲や対価などをしっかり設定することにある。農業の特殊性を踏まえた契約の方法を、農家側もITベンダー側も理解することが、スマート農業の発展と普及において求められている。
農林水産省 農業分野におけるAI・データに関する契約ガイドラインについて
https://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/chizai/200312.html
農林水産省 農業分野のノウハウ保護とデータ利活用のために
https://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/chizai/attach/pdf/200312-1.pdf
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