スマート農業で次世代の農業の担い手を育成 「次世代農業人育成コンソーシアム」に7社が参画

一般財団法人浅間リサーチエクステンションセンター、長野県佐久農業改良普及センター、有限会社トップリバー、スマートアグリコンサルタンツ合同会社、株式会社日立ソリューションズ東日本、つづく株式会社、freee株式会社は、農林水産省が公募する「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」について、参画先である「次世代農業人(スマートファーマー)育成コンソーシアム」の「実証プロジェクトの委託課題」が採択を受けたことを発表した。


次世代農業人育成コンソーシアムとは、生産者の利益拡大や経営安定化に寄与する技術体系を確立し、データに基づき安定的に収益を上げることができる次世代農業人(スマートファーマ―)の育成を実証することを目的として設立された。

高齢化等により農業の担い手不足が深刻化する中、技術発展の著しいロボット技術やAI、IoT等の先端技術を活用した「スマート農業」の実現により、生産性向上や労働力不足の解消を図ることが急務となっている。

こうした背景により、農研機構では、「スマート農業」の社会実装の加速化に資するよう、生産者の参画の下、実際の生産現場の栽培体系の中に先端技術を導入し、実証する者を広く募り、次世代農業人育成コンソーシアムの実証課題の採択を受けた。

代表機関である一般財団法人浅間リサーチエクステンションセンターは、長野県での技術・研究開発の支援及び、研究成果の利用、普及の促進を行う。また、本コンソーシアム全体の進行・運営支援、及び予算の策定・執行を担当している。

生産者として参加する有限会社トップリバーは、国内有数の農業生産組織として長野県において、大規模経営農家の育成支援、野菜の生産・販売、新規就農者の育成を事業として行い、実証プロジェクトにおいて、スマート農業技術の自社への導入を行う。また、長野県内の農業分野で実績のある「有限会社トップリバー」社の情報蓄積・活用および新規就農者育成ノウハウを発展させる形で、生産から販売までシステム間のデータ連携を実現するとともに、バックオフィス(人事労務、会計)についてクラウドサービスを利用することで、経営者・管理者の事務作業の軽減を実現する。蓄積したデータに基づき経営数値の精緻化・見える化を実現し、安定的に収益を上げることができる、次世代農業人(スマートファーマー)の育成を実証し、農業者の利益拡大や経営安定化に寄与する技術体系を確立していく。

共同実証機関である長野県佐久農業改良普及センターは、長野県佐久地域における、農業技術の普及の推進を担当する。実証プロジェクトにおいては、農研機構で開発された生育モデルと出荷予測アプリケーションの実証、及び確立したモデルの地域への普及にあたっての推進方策の策定を行う。

スマートアグリコンサルタンツ合同会社は、ITだけではなく、農業現場や経営に関する知識と経験を有するメンバーで構成され、スマート農業を活用した儲かる仕組みづくりを支援する。本実証プロジェクトでは、進行管理役及び各システム間のデータ連携仕様の策定・実装を担当し、モデル化した農業経営やスマートファーマー育成手法の全国展開を推進する。

株式会社日立ソリューションズ東日本は、日立ソリューションズグループの一員として、全国の農業生産者のICT導入による営農効率化を支援。実証プロジェクトにおいては、既存の栽培・経営管理システムの開発担当として、生育モデルの実装、及び安定した営農活動に必要な指標の精緻化を担当する。

つづく株式会社は、甲信越地域にて、中小企業・個人事業主に向けたクラウドテクノロジー活用支援を行う。実証プロジェクトにおいては、農業者への普及支援を担当する。

freee株式会社は、農業者を始めとした中小事業者のバックオフィス業務を効率化するクラウドサービスを提供。実証プロジェクトにおいては、会計ソフト・労務管理ソフトの農業者向け仕様の適正化検証を担当。Public APIによる外部サービス間の連携・生産性向上に取り組んでおり、本件においても活用を予定している。

今回の採択によりコンソーシアムは、農研機構で開発された生育モデルと出荷予測アプリケーションを利用し、正確な収穫予測日に基づく計画的生産を可能に。また、それによって生産性と収益性の向上を実現する。

<参考URL>
農水省公募による「スマート農業実証プロジェクト」委託事業69件の概要公開
スマート農業技術の開発・実証プロジェクト
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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