ドローン特化型ファンド「Drone Fund 2号」が世界最大規模の52億円を調達

2018年8月1日に設立された「Drone Fund 2号」(正式名称:千葉道場ドローン部2号投資事業有限責任組合)は、世界最大規模の52億円を調達したことを発表した。2号ファンドでは新たに25社が参画し、すでに7社への出資も進んでいる。


「Drone Fund 2号」は、「ドローン前提社会」や「エアモビリティ社会」の実現を目指し、ドローン関連のスタートアップに特化した投資ファンド。1号ファンドでは、2018年1月に総額約16億円にて資金調達を完了しており、22社のドローン関連のスタートアップに投資を実行した。主に日本の技術力や独自アイデアを持つドローン・スタートアップ企業の設立直後から、シード・アーリーステージに対して積極的な投資を行った。1号ファンドの投資先の1つである株式会社自律制御システム研究所(ACSL)は、2018年12月にドローン銘柄では世界で初めて、東証マザーズに上場を果たしている。

2号ファンドでは、農業やインフラ点検、物流などの産業分野と、新たに「エアモビリティ社会の実現」というテーマも加わり、空飛ぶ車の研究開発チームや海外投資に力を入れている。

日本を代表する大企業25社がLPとして参画

2号ファンド最大のランディングパートナー(LP)として参画が決まった小橋工業株式会社は、投資先のエアロネクスト社製品の商品化・量産化を支援し、同社のドローン「Next」シリーズの量産を年内に開始する見込みだ。

小橋工業は創業108年の歴史を誇る農業機械メーカーで、「平成までは大地を耕してきた時代。令和からは大空を耕し、大空に経済圏を創造する。」という強い意気込みのもと、農業分野で培った自社技術の新たな事業領域への応用を進めている。

ドローンファンド2号では今後も、様々な分野で強みをもつ LP各社 と投資先との協業を通じたシナジーを創出することで、「ドローン前提社会」 や「エアモビリティ社会」の早期実現を共に目指していくとしている。

ドローンメーカーなど7社に出資

2号ファンドとしてはすでに新規で7社に投資をしており、1号ファンドを加えると29社となっている。投資先は、農業やインフラ点検、物流など、今後ドローン活用が期待される産業分野だけでなく、エアモビリティ分野など国内外問わない。


産業分野では、農業用ドローンを開発するナイルワークスや、世界最大級のDaaS企業であるDrone Deploy、大型ドローンの研究開発を行うGriff Aviation、アジアNo.1ドローン・ソリューションカンパニーであるAerodyne Groupに投資を実行。エアモビリティ分野では、空飛ぶ車・エアモビリティの開発を行うSkyDriveやテトラ・アビエーションに投資を行っている。

また、ドローン前提社会における周辺技術への投資も行っており、風況観測でドローンの安全運航を目指すメトロウェザーにも投資。今後も産業分野、エアモビリティ、海外投資を主軸に投資していくという。

2号ファンドLP企業一覧

小橋工業株式会社、株式会社みずほ銀行、大和証券グループ、マブチモーター創業家一家、KDDI株式会社、西部ガス株式会社、GMOインターネット株式会社、オリックス株式会社、日本郵政キャピタル株式会社、株式会社電通、セガサミーホールディングス株式会社、東京電力ベンチャーズ株式会社、株式会社ゼンリン、エン・ジャパン株式会社、エイベックス株式会社、松竹株式会社、KSK Angel Fund(その他エンジェル投資家多数)


1号ファンドからの継続LP企業一覧

Mistletoe Venture Partners株式会社、株式会社オークファン、株式会社DGインキュベーション、日本アジアグループ株式会社、キャナルベンチャーズ株式会社、株式会社FFGベンチャービジネスパートナーズ、株式会社リバネス(その他エンジェル投資家様多数)

農薬散布、画像による生育状況の把握や画像診断など、さまざまな用途で活躍する農業用ドローン。スマート農業の普及に向けて、今後その開発スピードも普及拡大の時間も、さらに加速していきそうだ。

<参考URL>
Drone Fund

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  1. 加藤拓
    加藤拓
    筑波大学大学院生命環境科学研究科にて博士課程を修了。在学時、火山噴火後に徐々に森が形成されていくにつれて土壌がどうやってできてくるのかについて研究し、修了後は茨城県農業総合センター農業研究所、帯広畜産大学での研究を経て、神戸大学、東京農業大学へ。農業を行う上で土壌をいかに科学的根拠に基づいて持続的に利用できるかに関心を持って研究を行っている。
  2. 槇 紗加
    槇 紗加
    1998年生まれ。日本女子大卒。レモン農家になるため、大学卒業直前に小田原に移住し修行を始める。在学中は、食べチョクなど数社でマーケティングや営業を経験。その経験を活かして、農園のHPを作ったりオンライン販売を強化したりしています。将来は、レモンサワー農園を開きたい。
  3. 沖貴雄
    沖貴雄
    1991年広島県安芸太田町生まれ。広島県立農業技術大学校卒業後、県内外の農家にて研修を受ける。2014年に安芸太田町で就農し2018年から合同会社穴ファームOKIを経営。ほうれんそうを主軸にスイートコーン、白菜、キャベツを生産。記録を分析し効率の良い経営を模索中。食卓にわくわくを地域にウハウハを目指し明るい農園をつくりたい。
  4. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  5. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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