北大とNTT東日本ら、データ駆動型農業の実現に向けて新たな取り組みを開始

国立大学法人北海道大学、岩見沢市、NTT東日本株式会社、株式会社NTTドコモは、2019年に締結した産官学連携協定に基づき「心ゆたかな暮らし(Well-Being)」と「持続可能な環境・社会・経済(Sustainability)」の実現に向けた新たな取り組みを開始。進化したデータ駆動型農業の実現を目指し、通信環境の整備やデータの利活用手法について検討していくという。


進化したデータ駆動型農業の実現へ


日本の農業は、就農人口の減少や高齢化、後継者不足などにより、深刻な労働力不足に直面している。さらに、気候変動の影響による作物の品質低下や収穫量の減少など、農業の持続に対する懸念が一層高まっている。

こうした状況の中、農業を持続可能な産業として維持・発展させるためには、これらの課題を早期に克服し、技術革新を通じた生産性の向上・品質確保が不可欠だ。

また、2024年に改正された「食料・農業・農村基本法」 では、デジタル技術を活用した「スマート農業」の推進が明記されるなど、農業の高度化とともに地域社会のデジタルトランスフォーメーションが期待されている。

北大、岩見沢市、NTT東日本、NTTドコモは、2019年6月28日に産官学連携協定を締結し、最先端の農業ロボット技術と情報通信技術の活用によるスマート農業およびスマートアグリシティの実現に向けて検討を行ってきた。

活動を通じて、スマート農業およびスマートシティを支える通信環境に関する知見や技術的なノウハウが蓄積された一方で、データ駆動型農業の進歩に伴い、通信環境の整備やデータの利活用手法に新たな検討が必要であることも明らかになったという。

このような状況を踏まえ、4者は新たな課題の整理と検討に取り組むこととなった。

具体的には、「スマート農業の高度化に向けたデータ利活用の検討」、「データ駆動型農業の実現に向けた通信インフラ整備モデルの検討」、「地域社会DXに向けた課題解決と取り組みの検討」という3つのテーマに取り組む。期間は2025年8月1日から2028年3月31日まで。

1.スマート農業の高度化に向けたデータ利活用の検討

圃場から収集されたさまざまなデータの蓄積・分析手法を検討し安心・安全かつ効率的な、自動運転農機を活用した農作業の最適化を目指す。防災や社会インフラなど、他分野との連携についても検討を行う。

2.データ駆動型農業の実現に向けた、通信インフラ整備モデルの検討

通信環境が十分に享受できない地域の事情も鑑みた、ネットワーク環境の整備およびデータ収集方法や多目的利用方法について検討する。

3.地域社会DXに向けた課題解決と取り組みの検討

地域課題の抽出とデジタル技術を活用した対応策の検討により、地域住民の生活の質向上や地域経済の活性化を目指し、持続可能な地方創生とスマートシティのモデルづくりを進める。


国立大学法人北海道大学
https://www.hokudai.ac.jp/
岩見沢市
https://www.city.iwamizawa.hokkaido.jp/index.html
NTT東日本株式会社
https://www.ntt-east.co.jp/
株式会社NTTドコモ
https://www.docomo.ne.jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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