「食品加工産業」の発展がASEAN農業促進の鍵 日本アセアンセンターが報告書発表

東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センター(日本アセアンセンター)は、ASEAN地域におけるアグリビジネス促進の鍵となる報告書「ASEANにおけるグローバル・バリュー・チェーン:アグリビジネス」(英語版)を発表した。

報告書には、ASEAN地域におけるアグリビジネスの貿易促進と、小規模農家および中小企業を含む地元生産者の吸収能力向上の必要性が説かれているほか、持続可能な発展のための投資を促進すべき旨が明記されている。

「ASEANにおけるグローバル・バリュー・チェーンにおいて:アグリビジネス」
東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センターは、日本政府とASEAN10カ国政府が1981年に設立した国際機関。貿易・投資・観光・人物交流の4分野を中心に、ASEAN商品の輸出促進や日系企業の進出支援、人材育成、日本とASEAN間の観光等を通して、両者の関係促進に貢献している。

「単純農業」から「食品加工産業」への移行がASEANの共通優先事項


東南アジア諸国連合(ASEAN)の社会経済的発展において、アグリビジネスは重要な役割を果たしている。ASEAN地域では、総人口の1/6にあたる約1億人がアグリビジネスに従事しており、2018年のGDP平均の12%を占めるという。

1990年以降、ASEANの付加価値は増加の傾向にあるが、カンボジア、ラオス、およびミャンマーにおいては、食品加工の技術が進んでおらず、国内消費のために大量の加工食品を輸入しているのが現状だという。2015年の報告によれば、ASEAN地域におけるアグリビジネスの付加価値貿易額は1020億米ドルだが、国外での付加価値は農業製品よりも食品の方が高いそうだ。

このことから報告書では「単純農業から高付加価値をもたらす食品加工産業への移行」が、ASEAN地域における共通の優先事項としている。

日本は、ASEANのアグリビジネスにおける強力な支援者であり、アグリビジネスの発展および、その発展を国境を越えて統合すべく共に努力してきた。東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センターでは、今後ASEANにおけるアグリビジネスの競争拡大を視野に入れ、より支援を続けていく考えだ。

報告書の詳細およびデータベースは、以下の同センターウェブサイトで閲覧・ダウンロードできる。


Global Value Chains in ASEAN|March 2020
https://www.asean.or.jp/ja/centre-wide-info/gvc_database_paper15/
東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センター
https://www.asean.or.jp/ja/
報告書・データベース
https://www.asean.or.jp/ja/centre-wide-info/gvc_database_paper15/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
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    川島礼二郎
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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