テムザック、再生二期作にも対応する稲作向け収穫ロボット2種を発表

株式会社テムザックは、中山間農地における稲作を省力化する収穫ロボット「RMD-0」と多用途ロボット「MU-0」を開発した。


「再生二期作」にも対応


株式会社テムザックは、人とロボットの共存を目指すロボットメーカー。医療や建築、パーソナルモビリティ、災害レスキューの現場などにおいて、人に代わって活躍する多様な実用ロボット「WORKROID(ワークロイド)」を開発している。

同社は、2022年12月に宮崎県延岡市と連携協定を締結し、稲作用ロボットの開発を開始した。昨今稲作では大規模化やスマート農業による生産技術向上など、さまざまな取り組みが行われているが、中山間農地に向けた取り組みは少ないのが現状だ。

テムザックでは、小型で扱いやすいロボットを用いた省力化稲作のモデル作りにも取り組んでいる。その実現のために、大規模農業などと比べて効率や収量が低下したとしても、人の作業量を大幅に減らすことや、近隣市民などの協力によって、中山間農地の稲作が継続できる手段の構築を目指すとしている。

収穫ロボット「RMD-0」

今回テムザックが開発した収穫ロボット「RMD-0」は、軽トラックに積載可能なサイズおよび重量となっているのが特長だ。特別な資格や技能なしに運搬が可能で、電動化により静音性および環境にも配慮。

同時に開発された多用途ロボット「MU-0」のマーカーを追尾することで自律走行も可能で、農業経験が浅い人でも利用しやすいという。

 



さらに、1シーズンに収穫を2度行う再生二期作への対応として、高刈りおよび立毛脱穀を行うことができる構造を採用し、収量向上と省力化を実現できる。

多用途ロボット「MU-0」

多用途ロボット「MU-0」は、圃場の4隅から張り出しているワイヤーが伸縮し交点部の装置を移動させることで、圃場内での作業を実施・支援する。


今回は、他のロボットの自律移動を支援するマーカー機能と、害獣を追払う機能を搭載。生育状況センシングや遠隔圃場モニタリングなどの機能を追加することで、圃場見回り頻度を抑制することもできる。


また同社は、「省力化稲作支援サービス」の実証プロジェクトを、総務省事業に採択されて取り組んでいる。

プロジェクトでは、ロボット遠隔管制センター、先進無線技術の活用による映像伝送環境、AIによる圃場内リスクの自動検知などの機能を開発し、省力化稲作を総合的に実証検証している。今回発表したロボットは、同プロジェクトの実証実験においても活用されている。

今後は、農作業マッチングシステムの検証も予定しており、農業未経験者でも、ロボットの運搬・操縦を手伝うことで地域の中山間農地維持に貢献しながら収益を獲得できるようになることを目指す。

テムザックは、開発したロボットおよび実証中サービスの磨き上げによって、農地の大規模化などが図りにくい中山間農地に向けた省力化稲作支援サービスの確立と次年度以降の事業化を目指すとしている。


株式会社テムザック
https://www.tmsuk.co.jp
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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