AutoCover、茶園被覆作業をドローンで自動化する技術が「スマート農業技術活用促進法」の認定を取得

AutoCover株式会社は、茶園の被覆作業をドローンで自動化する技術が農林水産省の「スマート農業技術活用促進法 開発供給実施計画」に採択されたと発表した。2026年の上半期には、愛知県・京都府の茶園で実際の被覆作業を想定した現場実証を開始する。


ドローンとデジタルツインで被覆作業の80%削減を目指す


AutoCoverは、愛知県名古屋市に本拠を置くスマート農業のスタートアップ。ドローンによる農業作業の自動化支援、農業DXソリューションの開発・提供を行っている。

 

抹茶や玉露などの高級茶栽培に欠かせない被覆作業は、黒い遮光資材で茶園全体を覆う工程を指すが、足場の悪い急傾斜地での作業が多く、雨天などによって水分を含んだ資材はさらに重くなるため、高齢化が進む現場では事故のリスクと隣り合わせだ。

また、現状では機械化が困難な作業があり、短期間に集中して行う必要もあるため、繁忙期の人員確保が年々困難になっているという。

 

AutoCoverは、自動車製造の現場で培った高度な「デジタルツイン技術(仮想空間でのシミュレーション)」と産業用ドローンを融合させることで、茶園被覆作業の省力化を実現する。

具体的には、LiDAR搭載ドローンで茶園を高精度で計測し、地形や畝の形状をデジタル空間に再現することにより、傾斜地でも衝突しない安全かつ最適な飛行ルートを自動生成。また、物流ドローンに独自開発のアタッチメントを搭載し、空中から資材の展開・巻取りを自動で行う。

これにより、従来の手作業と比較して労働時間を約80%削減し、これまで数日がかりで行っていた作業をわずか数時間に短縮して少人数での運営を可能にするという。

「スマート農業技術活用促進法」とは、国が「農業に特に必要な技術」として公式に認め、開発・普及を後押しする制度で、同社は今回、茶園の被覆資材の被覆および除去をドローンで自動化する技術と、その供給サービスを行う事業者として認定された。金融支援や税制優遇などの公的な支援措置を受けることが可能となり、開発スピードの向上および社会実装への体制がより強固なものとなる。

今後は、2026年の上半期までに愛知県・京都府の茶園で実際の被覆作業を想定した現場実証を開始。2027年以降は、茶園向け自動被覆サービスとして順次展開し、京都府・静岡県・三重県・鹿児島県など主要産地での実証およびサービス提供の拡大を進めるという。

AutoCoverは、茶園被覆で培った技術を基盤に、他作物の資材の被覆、収穫物の搬送、圃場管理・測量・データ活用へと領域を広げ、中山間地の農業全体を支えるスマート農業プラットフォームの構築を目指す。さらに、愛知県の製造業パートナーと連携し、愛知発の技術で日本の茶業を支えるエコシステムづくりにも取り組むとしている。


AutoCover株式会社
https://auto-cover.meisho-hp.jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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