JAXA発ベンチャーが手掛ける青果流通支援サービス「DATAFLUCT food supply chain.」がスタート

株式会社DATAFLUCTは、青果サプライチェーンの構築支援サービス「DATAFLUCT food supply chain.(データフラクト フードサプライチェーン)」の提供を2020年7月22日(水)にスタートした。

このサービスは、農産物の生産・出荷・流通、加工・販売、消費までのビッグデータを活用して、生産から消費までのプロセスを予測するもの。同社はサービスの提供を通じて青果流通の最適化を実現したい考えだ。


DATAFLUCTは、宇宙航空開発機構(JAXA)の職員が出資設立したJAXA認定のベンチャー企業。データとサイエンスの力で社会課題を解決することをミッションに、同機構が保有する知的財産や業務で得た知見を活用して未来予測モデルの構築を進める。

食のサプライチェーンサービスでは、農地の衛星画像や気象データ、価格データをAIが解析して収穫量や収穫日、市場取引価格を予測する「DATAFLUCT agri.」や、店舗のPOSデータ・気象・人流などの外部データをAIが解析して消費者の需要を予測する「DATAFLUCT foodloss.」等を展開している。


適切な生産量や在庫量、ルートや調達コストの最適解を予測


「DATAFLUCT food supply chain.」は、分断管理された青果流通のデータを統合して、適切な生産量や在庫量、ルートや調達コストの最適解を予測するサービスだ。

予測に使用されるデータは、気象データ、衛星データ、産地の生産計画データ、過去の生産計画データ、出荷履歴データ、入荷履歴データ、在庫データ、市場取引価格データ、輸入量データ、道路状況データ、配送履歴データ、トラックGPSデータ、人流データ、SNSデータ、POSデータなど。

同社は、青果サプライチェーンに関わる企業や団体、原価高騰や材料ロス、在庫管理に悩む企業や団体を対象に、下記のような課題を解決していく構えだ。

事例1:「最適な生産量を予測できず、生産する青果物の単価が下がってしまう」


気象データや衛星データ、過去の生産計画データ、出荷履歴データ、市場取引価格データ、POSデータなどを用いて青果物の需要を予測。最適な単価を実現する生産計画に寄与。

参考:衛星データによるキャベツ圃場の生育状況ヒートマップ

事例2:「集出荷・配送に関する最適な車両規模やルートがわからず、流通コストがかかる」


道路状況データや出荷履歴データ、配送履歴データ、市場取引価格データ、トラックGPSデータなどを用いて車両の規模や配送ルートを見直し、流通コストを最適化。

事例3:「原料の調達に必要な最適な価格や青果物の将来の市場価格を知りたい」


気象データ、主産地の生産計画データ、衛星データ、入荷履歴データ、市場取引価格データ、輸入量データ、主産地の生産計画データ、POSデータ、在庫データなどを用いて、原料の調達に必要な最適な価格や将来の市場価格の変動をAIで予測。

AIによるキャベツの市場価格予測のグラフ(ツール使用時のイメージ図)参考:AIによるキャベツ市場価格の予測

事例4:「発注作業に時間がかかり、人件費が高騰」


POSデータ、人流データ、SNSデータ、気象データなどを用いて飲食店や小売店の需要を予測。それらを反映させたチャットボットを利用して、発注作業を自動化。

『DATAFLUCT intelligent.』の仕組みを活用(スマートフォン内の画像は『DATAFLUCT intelligent.』のものです)参考:DATAFLUCTが提供するチャットボットサービス


DATAFLUCTは、「DATAFLUCT food supply chain.」の提供開始にあたり、「適切な生産量や在庫量、ルートや調達コストの最適化を実現することで、青果サプライチェーンに関わる個人・事業者の利益の最大化に貢献したい」とコメントしている。


株式会社DATAFLUCT
https://datafluct.com/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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