地熱発電を活用したIoT熱水ハウスの取り組みが「地熱モデル地区PROJECT」に選出

株式会社八幡平スマートファームと八幡平市(岩手県)は、地域活性化独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構が実施するプロジェクト「地熱モデル地区PROJECT」のモデル地区に選出されたことを発表した。

「地熱モデル地区PROJECT」は、地熱を活用した地域振興に取り組む自治体を全国に発信するプロジェクト。
開設された特設サイトでは、「地熱で灯す、地域の未来」をテーマに、両者が取り組む地熱発電を活用した事業のほか茅部郡森町(北海道)や湯沢市(秋田県)が取り組む事業の内容が紹介されている。

未活用の熱水ハウスと農業IoTを活用した地域振興に取り組む



八幡平市は、岩手県北西部に位置する市だ。同市では、1966年に運転を開始した日本初の商業用地熱発電所である松川地熱発電所の開所以来、国の観光政策や農業振興施策等の支援のもと、地熱発電を活用した施設野菜団地の整備を進めてきた。

1984年には、岩手山の裾野に位置する十和田八幡平国立公園の麓で花卉栽培を行うなど、熱水ハウスの栽培施設地として振興したが、近年は高齢化による離農や施設の老朽化等の問題により未活用の施設が増加していたという。
同市はこれらの地域課題を解決するため、自然エネルギーと最新の栽培技術やIoT制御システムを融合し、熱水ハウスの再生を目指した「スマートファームプロジェクト」を、2017年9月に発足させた。

以来、IoTを活用した次世代型施設園芸への転換を図るとともに、持続的かつ発展的に農業経営ができる人材の確保や、新規就農者に向けたIoT技術の習得支援の場としても機能する施設づくりを推進している。


八幡平スマートファームは、IoTを利用したシステム開発などを展開する株式会社MOVIMASと、地熱を活用した熱水ハウスの再生事業を推進する八幡平市が、IoT農業の振興を目的とした包括連携協定締結のもと設立した農業法人
所有する2haの土地を生かし、未活用の熱水ハウスとIoTを活用した通年栽培のバジルを生産する。

地熱資源を活用した事業活動や地域振興に向けた取り組みを紹介


「地熱モデル地区PROJECT」では、八幡平スマートファームと八幡平市が共同で取り組む地熱資源を活用した事業活動や地域振興に向けた取り組みが紹介されている。


特設サイトには、両者が取り組む事業の内容ほか、八幡平スマートファーム代表取締役の兒玉則浩氏がテレビ出演した時の様子や、2020年8月5日に開催された「八幡平市こども地熱探検隊2020」の様子が活動報告として掲載されている。

八幡平スマートファームの代表取締役である兒玉則浩氏(2020年8月27日・28日・31日に放映されたテレビ出演時の様子)
Kodama developed a new agricultural method with the Internet of Things
Smart farm staffs with Kodama
First shipment ceremony of basil grown in smart farm
八幡平スマートファームは、プロジェクトを通じて「日本初の商業用地熱発電所である松川地熱発電所からの熱水を活用したスマート農業のビジネスモデルを確立することで、地域経済の振興および地域産業の発展と福祉向上に寄与したい」としている。また、同社の代表取締役の兒玉則浩氏が出演したテレビ番組は、下記サイトより視聴できる。

NHK WORLD-JAPAN OnDemand(英語)
「Hot Springs IoTernal:Agricultural Innovator - Kodama Norihiro」
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/ondemand/video/2042101/


地熱モデル地区PROJECT
http://geothermal-model.jogmec.go.jp/
株式会社八幡平スマートファーム
http://smartfarm.co.jp/
八幡平市
https://www.city.hachimantai.lg.jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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