「xarvio FIELD MANAGER」と「KSAS」のシステム連携が開始 水稲生産における施肥量を最適化

BASFジャパン株式会社は、栽培管理支援システム「xarvio® FIELD MANAGER」と営農支援システム「KSAS(クボタスマートアグリシステム)」のシステム連携を行い、2024年3月19日(火)にサービス提供を開始したと発表した。


システム間の効率的なデータ移行と施肥量の最適化を実現


BASFが提供する「xarvio FIELD MANAGER」は、人工衛星解析による作物の生育状況の見える化やAIによる生育予測、病害発生予測を行い、最適な栽培管理を提案・支援を行うというもの。人工衛星センシング画像から見える化した生育状況を基に、圃場内の施肥量を調節する「可変施肥マップ」を作成することができ、対応農機と連携することで施肥量の最適化を行える。

クボタが提供する「KSAS」は、圃場情報や作業履歴、収穫実績、農機の稼働情報等をパソコンやスマートフォン等を使って管理・閲覧できる営農支援システム。「KSAS」対応農機と連携させることで、作業日誌の自動作成や、「KSAS」で作成した可変施肥マップを用いた施肥作業などが行える。

BASFジャパンは、全国農業協同組合連合会(JA全農)、クボタ、BASFデジタルファーミング社と共に、「xarvio FIELD MANAGER」と「KSAS」のシステム連携を実現するための実証実験を進めてきた。
 
実証実験では、2023年5月に「KSAS」から「xarvio FIELD MANAGER」へのほ場形状のデータ移行、「xarvio FIELD MANAGER」から「KSAS」への可変施肥マップの移行、可変施肥マップデータに基づくクボタ製田植機「NW8S-PF-GS」による可変施肥田植作業を実施し、スムーズに連携できることが確認された。

また、2023年9月には、土壌肥沃度の指標である地力窒素が同程度の2つの圃場でクボタの食味・収量センサ付きコンバインを用いた稲の収穫作業を実施。その結果、慣行施肥した場合と比較して、可変施肥した圃場では4~5%の増収効果が確認されている。さらに、地力窒素が少ない圃場で可変施肥を行った結果、生育の平準化による収量の底上げが図れたため、地力窒素が多い圃場と同等程度の収量になったという。

これにより、可変施肥によって収量向上に寄与できることを確認するとともに、施肥量の自動計算を通じて肥料の準備に係る作業時間の短縮や肥料購入量の適正管理が可能となり、生産性向上に寄与できる可能性が示された。

システム連携機能の詳細


「xarvio FIELD MANAGER」が提案する可変施肥マップをクボタの田植機と連携させることで、「KSAS」ユーザーは「xarvio FIELD MANAGER」の可変施肥マップを使用する選択肢が増え、手軽に可変施肥を行うことができる。

また、施肥を計画するとその作業記録が自動的に「xarvio FIELD MANAGER」に残るとともに、「KSAS」上の日誌にも記録が可能。

これまでは日本で「xarvio FIELD MANAGER」の可変施肥マップを利用する場合、USBメモリー等を介して農業機械に取り込む必要があったが、「KSAS」とのシステム連携により国内農機メーカーとして初めて、自動的にデータ移行が行えるようになった。

ザルビオ® フィールドマネージャーの可変施肥マップをクボタスマートアグリシステムと連携

連携自体は、各システムのアカウントを取得した上で、「KSAS」でさらに「KSASデータ他社アプリ連携」用のアカウントを取得し、そのIDとパスワードを「xarvio FIELD MANAGER」の画面で入力することで可能。連携機能の利用料は無料だ。

対応機種については、クボタの可変施肥対応田植機すべてで、「NW8S-PF-GS」、「NW8SA-PF-A(OP)」、「NW10SA-PF-A」の3つとなっている。

今後は、農業者のより効率的かつ効果的な栽培記録管理とデータの利活用が進むよう、圃場情報をはじめとしたデータのスムーズな移行連携や、連携できるデータ範囲の拡張などを検討し、持続可能な農業の実現に取り組んでいくとしている。


全国農業協同組合連合会
https://www.zennoh.or.jp
株式会社クボタ
https://www.kubota.co.jp

BASFジャパン株式会社
https://www.basf.com/jp/ja.html

xarvio® FIELD MANAGER
https://www.xarvio-japan.jp/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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