AGRISTとJA全農いわて、ピーマン収穫ロボットの実証実験を開始

AGRIST株式会社と全国農業協同組合連合会岩手県本部(以下、JA全農いわて)は、岩手県内のハウスにおいてピーマン収穫ロボットの実証実験を開始した。この取り組みによって、農業従事者の減少に悩む岩手県の園芸生産、特に中山間地域における収穫作業の自動化を実現し、生産性向上と人手不足解消を目指すとしている。



ロボットによる収穫作業の自動化実現へ


AGRIST株式会社は、テクノロジーで農業課題を解決し、持続可能な農業の実現を目指す農業スタートアップ企業。 AIを搭載した自動収穫ロボットを活用し、自治体・企業と連携してスマート農業の普及を推進している。

同社が開発している収穫ロボットは、AIと画像認識技術を活用し、収穫適期のピーマンを正確に識別して収穫が行える。また、ハウス内の環境に合わせて自動で走行しながら作業を行うため、人手による作業負担を軽減することが可能だ。

JA全農いわては、岩手県中山間地域および多様な担い手への施設栽培によるピーマン栽培の普及を目的に、農業ICTをはじめとする先進的な栽培技術を導入し、生産者の安定生産・安定収入に向けて取り組んでいる。

今回の実証実験では、収穫ロボットをJA全農いわてに2024年9月2日から20日までの18日間レンタルし、性能や効果の検証を行う。

これにより、収穫作業の自動化による人手不足の解消、作業効率の向上による生産量の増加、収穫作業の標準化による品質の安定化が期待されている。また、重労働が軽減されることで、農業従事者の労働環境の改善にも役立つという。

なお、AGRISTのレール走行式のピーマン収穫ロボットが東北エリアにレンタル導入されるのは今回が初めてとなる。


操作方法をレクチャーする増渕氏

プロダクトリーダー増渕氏のコメント
2021年頃から継続的にお声がけを頂いており、今回の実証導入が実現しました。東北エリアでの導入、また、レール走行式のピーマン収穫ロボットを導入するのは初めての取り組みであり、今回の実証実験は収穫ロボットのさらなる進化に向けた重要な一歩となりました。今後も収穫ロボットの性能向上を進めるとともに、その他機能の開発により農家の方々の負担を減らし、さまざまな農家の方々に貢献できるような農業ロボットを実現していきたいと考えています。

AGRISTは、今回の実証実験で得られたデータに基づき、収穫ロボットのさらなる性能向上を目指す。また、さまざまな種類の作物に対応できるよう、ロボットの機能を拡張していく予定だ。

さらに、Microsoftの「Copilot」を活用し、農業に特化したAI「AGRIST Ai」の開発も推進している。将来的には、同社の技術を全国の農業現場に展開し、日本農業のDXを牽引していきたいとしている。


AGRIST株式会社
https://agrist.com/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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