ゴムの力で果樹収穫をアシストする「bonboneMOTT」、梨でも実証

医療用品メーカーのダイヤ工業は、JA晴れの国岡山(倉敷市)の協力のもと、果樹農家向け腕上げアシストサポーター「bonbone MOTT」を開発・発売している。価格は8000円(税抜)で、全国のJA店舗で購入が可能だ。

今回、その梨栽培における機能評価のため、倉敷市の梨農家によるモニターを実施し、効果を実証した。

腕上げサポーター「bonboneMOTT」
サポート力調節ベルト

ぶどう向けのサポーターを梨でも実証


bonboneMOTTを装着してネット掛け作業をする梨生産者(2020年8月18日撮影)
bonboneMOTTは、2018年に腕を上げた状態での作業が多いぶどう農家の作業負担を軽減する目的で共同開発した製品。小さな果実を間引く摘粒作業や樹木の剪定作業等、腕の上げ下げを繰り返し行う作業を対象に販売を行ってきた。

そして、同じ棚下栽培の方法で生産する梨農家からも、腕上げ作業時にかかる身体への悩みの声が上がっていたことから今回の梨農家での実証実験に至った。

今回検証したのは梨栽培特有の「ネット掛け作業」。品種にもよるが、梨はぶどうに比べ果実が重く、1200g~1400gとぶどうの約2倍。そのため、袋が掛かった果実の上からさらにネットを枝に括りつけることで、成長した果実の地面への落下防止を目的として行われる。

このネット掛けには1個あたり約30秒かかり、連続的にネットをかけていくため腕を長時間上げた状態で保持する必要があり、首や肩にかかる負担も大きい。

機能評価のためモニターに協力した、鏡野町で梨農園を運営する広田氏(愛宕梨生産者)は、「ネット掛け作業は腕を上げた状態でネットの紐を枝に括りつけていくため、手先を使った繊細な作業になり、他の作業と比べても首、肩にかかる負担が大きく毎年悩みの種となっていた。今回bonboneMOTTを装着して同様の作業を行ったところ、首を支点に腕を支えられる感じがはっきりと感じられ、思いのほか腕を上げた状態での作業が楽になった。今後は春先に行う誘引作業でも試してみたい。」とコメントしている。

梨農園を営む広田氏
今後は全国の梨農家や同様の作業を行う棚下栽培の果樹農家などにも展開していきたいとしている。


bonboneMOTT
https://www.daiyak.co.jp/work/item/bonbone-mott.html
ダイヤ工業株式会社
https://www.daiyak.co.jp/

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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
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  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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