生産者と物流会社をマッチングする「CLOW」、事業化に向けた実証実験をスタート

日本国内に22カ所、海外に114カ所の事業所を展開する国内大手の総合商社である住友商事株式会社は、農業関連物流マッチングサービス「CLOW(クロウ)」の本格事業化に向けた実証実験を開始した。

「CLOW(クロウ)」は、 農作物を出荷する個人農家や効率的な輸送を行いたい農業法人と輸送スペースを有効活用したい物流会社をマッチングして最適な輸送ルートを提案するAIサービス。同社は実証実験の結果を基に、「今年度中の試験導入を目指す」としている。


出荷ニーズと空車情報を組み合わせ、効率的な集荷・配送ルートをAIが設定


「CLOW」は、住友商事の社内起業制度である「0→1チャレンジ2019(ゼロワンチャレンジ2019)」で発案された物流システム。発案者は同社の20歳代の社員で、農家および農業法人の出荷ニーズとトラックの空車状況をクラウドに集約して効率的な集荷・配送ルートをAIが自動的に設定する。


今まで自家用トラックで運んでいた農家の新たな手段や、農業法人の共同配送による安価な物流システムとしての活用が期待されている。

実証実験では、 同社の協力先である東三温室園芸農業協同組合から提供される過去の農作物出荷データを基に、効率的な集荷・配送ルートを設定。日本通運株式会社の協力を得て集荷・配送ルートの効率性を精査する方針だ。
またアプリケーションの操作性等についても、ヒアリングを進めるとした上で、京都府京丹後市にある株式会社丹後王国ブルワリーとも同様の実証実験を行う考えを示している。

日本の農業関連物流は、 農業者自らが集荷場や卸売市場に農産物を持ち込む必要があることから、高齢化等による人手不足に悩む農業現場にとっては大きな負担だと言われている。同社は「CLOW」の提供を通じて、農業関連物流の効率化を図ることで豊かな超高齢社会と持続可能な社会の実現に貢献したい考えだ。


住友商事株式会社
https://www.sumitomocorp.com/ja/jp
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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