植物工場スタートアップ企業のプランテックス、独自開発した栽培装置を用いたマザー工場の建設を発表

植物工場スタートアップの株式会社プランテックスは、独自開発した植物工場向けの大型栽培装置や研究開発向けの小型栽培装置を用いた新方式による植物工場(マザー工場)の建設を発表した。

この植物工場は、同社の植物生産システムが効率的かつ安定に稼働することを実証するために建設される施設という。建設費用については、国内農機最大手である株式会社クボタを引受先にした第三者割り当て増資による資金調達で工面する方針だ。

プランテックスが建設を予定する植物工場のイメージ
プランテックスは、植物生産および研究開発の両方で使用される植物の栽培装置と成長管理システムを開発する企業。高度なスキルを持つエンジニアリング企業として、植物工場の可能性を引き出すプラットフォームを提供する。

同社が開発した栽培装置は、栽培棚ごとに独立した空間を持つ密閉方式の栽培装置。内部には空調や養液循環システム、各棚の栽培環境を高精度に制御する装置が組み込まれているという。

2019年には、東京都中央区京橋に密閉方式の大型栽培装置を開設して、葉物野菜を中心とした農作物生産の取り組みを開始した。

植物工場向けと研究開発向けに2種類の栽培装置を開発


プランテックスは、植物工場向けの大型栽培装置と研究開発向けの小型栽培装置の2種類を開発する。

植物工場向けの大型栽培装置は、従来の人工光型植物工場では困難とされてきた多品種栽培を可能にした複数台の栽培装置で、生産の安定性と面積あたりの生産性を同時に高められるという。

密閉方式を採用したプランテックスの大型栽培装置
研究開発向けの小型栽培装置では、装置を活用した機能性野菜や薬用植物など高付加価値植物の栽培に関する研究を進めている最中で、最終的には植物の栄養成分や薬用成分を高めることを目標にしている。

植物成長管理システムとの連動では、「栽培環境および植物生育の再現性を高いレベルで維持できる」と結論付けられ、小型栽培装置での高付加価値の栽培条件を大型栽培装置に適用できることが確認されたという。

小型栽培装置を活用した植物栽培研究所(仮称)の設立も予定


内部環境をコントロールして農作物を計画的に生産する植物工場は、農村や都市部等の立地条件ほか異常気象等の外部環境の影響を受けない側面から、食糧不足や環境問題など人類が抱える問題を解決するといわれる。

同社は今回の建設を契機に、国内農機最大手であるクボタとの連携を深めることで、植物工場の企画・建設事業を国内外で推進したい考えだ。今後は小型栽培装置を活用した植物栽培研究所(仮称)の設立を進める予定だ。

プランテックスが設立を予定する植物栽培研究所のイメージ

株式会社プランテックス
http://www.plantx.co.jp/
株式会社クボタ
https://www.kubota.co.jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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