マクニカ、次世代植物工場の実装に向けた活動拠点「Food Agri Tech Incubation Base」を横浜市に開設

株式会社マクニカは、フード・アグリテック分野におけるオープンイノベーション拠点となる「Food Agri Tech Incubation Base」を横浜市にある本社第2ビル横に設置し、次世代植物工場の開発・実装に向けた設備と体制を構築したと発表した。

40フィートのコンテナ内において高付加価値品種の人工光型水耕栽培を行いながら、環境データや生育データの取得、AI解析、生育環境の最適化、作物病気診断などさまざまなテーマでの概念実証を実施し、パートナーとともに次世代植物工場に向けたサービス開発を推進していく。


土地や環境に依存しない「環境制御型農業」を推進

マクニカは、半導体やサイバーセキュリティ、AI、IoT自動運転など最先端技術を取り扱う企業。神奈川県横浜市に本社を置き、世界23カ国81拠点で事業を展開している。

世界人口が増加する中、食料を生産する水や土地の不足、農業就業人口の減少などの問題が顕在化している。また、地球温暖化による異常気象や自然災害によって生産基盤の維持が難しくなっており、今後は十分な食料調達が困難になっていくことが考えられる。

同社は、このような食と農の社会課題に対し、土地や環境に依存せずに作物の収量・品質を安定させる環境制御型農業(Controlled Environment Agriculture: CEA)の推進に取り組んでいる。


環境制御型農業とは、センサーやAI、ロボット技術を使い、人の作業工数削減、栽培ノウハウの継承、特定成分に特化した付加価値の高い作物の開発などを実現するものだ。

この技術は、実際に作物を育てる場所で集めたデータを蓄積・解析し、その結果をもとにさらに良い方法を見つけていくサイバーフィジカルシステムによって成立しているという。

Food Agri Tech Incubation Base内部

今回同社が開設した「Food Agri Tech Incubation Base」は、農業技術に関するデータをパートナーと協力して収集・解析する場所として活用される。自社の半導体事業で培ったセンサーやAIなどの技術と、サイバー空間で情報を扱う技術を組み合わせ、現実の農業とデジタル技術を融合させることで、新しい価値を生み出すことを目指すとしている。

40フィートのコンテナが設置されている施設内は、株式会社NEXTAGEが作ったわさび栽培モジュールをベースに作られており、NEXTAGEとの共同開発を行う栽培エリアと、オープンイノベーションの場としての共創エリアに分かれている。

マクニカは、「Food Agri Tech Incubation Base」でパートナーとともに食の多様性や農業技術の継承に取り組み、他の事業分野とも連携しながら社会課題を解決していきたいとしている。


株式会社マクニカ
https://www.macnica.co.jp/
株式会社NEXTAGE
https://nextagecorp.com/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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