イームズロボティクス、Ntrip対応の農業用ドローン「エアロスプレーヤーAS10-N」をリリース

ドローンなど無人機の自動運転プログラムを手がけるイームズロボティクス株式会社は、新型農業用ドローン「エアロスプレイヤーAS10」と「エアロスプレーヤーAS10-N」の2機種を2020年12月11日に発売した。価格はオープン。

今回発売された2機種は、同社が以前に発売した完全自動航行散布制御機能付きの農薬散布ドローン「エアロスプレーヤーAS5Ⅱ」のハイスペックモデル。「エアロスプレーヤーAS10-N」については、固定の基地局なしで高精度な農薬散布を実現するNtripに対応したモデルとなる。
「エアロスプレーヤーAS10-N」

一度のフライトでより1ヘクタールの散布ができるように


従来の5ℓタンク搭載のエアロスプレイヤーAS5Ⅱに比べ、「エアロスプレイヤーAS10」と「エアロスプレーヤーAS10-N」はタンク容量が10リットルにアップ。一度のフライトで1haの散布が可能となった。

また新機能として、機体にはバッテリーや薬剤の残量を感知して自動帰還するエンプティセンサー機能や、帰還した地点から再び散布をスタートするレジューム機能、農地の起伏に合わせた飛行を実現するレーザーレンジファインダー機能等も備える。

オプションとして、1~5㎜程度の粒径に対応する粒剤散布仕様の装置がライナップされているほか、装置の取り付けの際に必要な本体と脚部の脱着についても、ドライバーやスパナ等の工具を必要としない。

機体の軸間寸法は1501㎜で、離陸時の最大荷重が28.4kg、散布幅は最大4mまで対応する。フライトルートの設定や自動航行に使用するタブレットについては、10インチと12インチの2つの画面サイズが用意されている。
ドライバーやスパナ等の工具を使用せずに本体と脚部の脱着が可能

農薬をセンチメートル単位で自動散布する高精度な農業用ドローン


また「エアロスプレーヤーAS10-N」が対応するNtripとは、「Networked Transport of RTCM via Internet Protocol」 の略で、電子基準点から得た位置データを元に補正された測位データをインターネット回線を通じてリアルタイムで配信するサービスを指す。

これにより「エアロスプレーヤーAS10-N」は、オペレーターがタブレットを使用して設定したフライトルートに自動補正した位置情報を加えて、センチメートル単位の精度で飛行・散布が可能となった。現場で使用する付属品は、スマートフォンサイズに設計されたNtripの地上局のみで、圃場の位置を出す必要はない。

Ntripを活用した自動散布の概要図
今回発売された2つの製品には、各種付帯保険や実技と座学による合計2日の導入講習も付属している。
受注生産のため、製品の出荷は2021年3月以降を予定しているそうだ。

「エアロスプレイヤーAS10」参考動画

イームズロボティクス株式会社
https://eams-robo.co.jp/index.shtml
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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