スマート農業実証プロジェクトの成果を紹介する「スマート農業推進フォーラム2020」公開

農林水産省農研機構は、スマート農業実証プロジェクトの実証成果やスマート農業に関する最新の研究成果および製品等を紹介した「スマート農業推進フォーラム2020」を農林水産省のWebサイトで公開した。

スマート農業実証プロジェクトは、農林水産省が2019年に開始したスマート農業の社会実装を加速するための取り組みだ。同プロジェクトでは、生産者や民間企業、大学、研究機関らで構成された各コンソーシアムを実施者に、稲作や畑作、果樹、花き類など各地の栽培品目に合わせた実証実験が全国148の地区で展開されている。

出展:農林水産省

令和元年度採択の69地区の実証成果を図表や動画で紹介


「スマート農業推進フォーラム2020」は、スマート農業実証プロジェクト令和元年度(2019年度)採択69地区の各コンソーシアムが実施した1年目の実証成果を公開したもの。

出展:農林水産省
令和元年度におけるプロジェクトの成果の一例は下記の通り。

  • 自動操舵機能付き田植機による疎植栽培時の省力性と経済性
  • AIによる温州みかん糖度予測手法を開発
  • 多機能センサを用いた家畜の早期疾病検知技術
  • ~放牧子牛の成長を見える化する~ 自動体重計測システム
  • IoT技術・ロボット化技術を活用した大規模スマート茶業一貫体系
  • 予測を含む気象データを利用した、水稲、小麦、大豆の栽培管理支援システム

Webサイトでは、水田作におけるロボットトラクターと有人トラクターの協調作業による作業時間の短縮(約3割減)や営農管理システムの活用による圃場見回り日数の減少(80日から39日に減少)等の実証成果が報告されている。

プロジェクトに参画する農業者のインタビュー動画も追加


「スマート農業推進フォーラム2020」では、すでに公開している農業者のインタビュー動画へ新たに20名分を追加した。



公開された動画には、「人的作業は疲労によって作業にブレが出るが、スマート農機導入でロスが減り、コスト削減につながる(水田作)」、「スマート農業技術の導入により、熟練者以上に正確な作業が可能になった(露地野菜)」等のコメントが寄せられている。

民間企業が開発したスマート農業関連の製品についての動画も公開


「スマート農業推進フォーラム2020」では、民間企業が開発したスマート農業関連の製品(約190)について紹介した動画も公開している。紹介されている技術の一例は下記の通り。

・ロボットトラクタ(3社)
「無人で圃場内を自動走行(ハンドル操作および発信・停止、作業機制御を自動化)」
「1人で2台を操作可能(有人-無人協調システム)」

・自動操舵システム(5社)
「ハンドルを自動制御して設定された経路走行」
「作業の重複幅を減少して単位時間あたりの面積を約10~25%増加」

・リモコン草刈機(8社)
「急傾斜地や人が入りにくい耕作放棄地等での除草作業が可能な遠隔操作による草刈機」
「作業時間の低減可能(刈払機の約80%」

・圃場・施設環境モニタリング/制御装置(27社)
「圃場やハウス内外の環境(温湿度、日射量、二酸化炭素濃度等)を各種センサーで自動測定」
「データに基づく栽培によりハウス内環境を最適化。約15~25%収量増加率が可能」

「スマート農業推進フォーラム2020」で公開していない実証成果の詳細については、各コンソーシアムの問い合せ先まで。


スマート農業に関する最新情報を動画を交えて一斉公開!|農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/kihyo03/201211.html
農研機構
http://www.naro.affrc.go.jp/
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WRITER LIST

  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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