農薬スプレー缶をドローンで遠隔操作できる噴射装置「SABOT for Drone」提供開始

製缶事業を中心に総合容器の設計・開発・製造等を展開する東洋製罐(とうようせいかん)グループホールディングス株式会社は、農薬等のスプレー缶をドローンに着脱できる遠隔操作が可能な噴射装置「SABOT for Drone」の提供を開始した。

「SABOT for Drone」は、同社が実施する「OPEN UP! PROJECT」の一環で開発された、遠隔操作が可能なスプレー缶専用の噴射装置。同社は、創業以来培ってきた技術力とノウハウを生かして、ドローンの新しい価値を提案したい考えだ。

東洋製罐グループホールディングスが提供を開始した「SABOT for Drone」
東洋製罐は、包装容器の設計・開発・製造・販売等を手がける企業グループ。飲料や食品等に使用される製缶事業を柱に企業活動を展開する。
同社が実施する「OPEN UP!PROJECT」は、時代によって変化するさまざまな社会課題に対して、革新的技術を用いて解決を試みるプロジェクトだ。


提供が開始された「SABOT for Drone」は、同社が「容器という側面から新たな付加価値を与えられる」として、約1年半の開発期間を経て開発された製品という。

農薬のスプレー缶をドローンに着脱できる遠隔操作が可能な噴射装置


「SABOT for Drone」の特徴は主に3つだ。


1.ホバリング状態での上下左右への散布が可能。


従来の農業用ドローンとは異なりノズル部分が上下左右に可動するため、内容物を思い通りの方向に噴射できるほか、対象物との距離を計測するセンサ・カメラ等の機能も備える。装置の制御は、利用者目線の開発により高い操作性を実現する。

2.内容物の変更はスプレー缶を変更するのみ。配管やノズルごと簡単に交換できる。


内容物の変更は、スプレー缶を交換するだけで完了できる。「殺虫剤による蜂の巣駆除や塗料を使用した特定箇所へのマーキングなど農業用途以外の多様な活用も見込める」としている。

3.製缶をメインとする総合容器メーカーの技術やノウハウを生かした安心・安全の提供


装着する缶には、 殺虫剤や 塗料、 室内消臭剤、 頭髪用品等に使用されるエアゾール缶を採用。 創業100年で培ってきた同社の技術力とノウハウで装置全体の安全性や機能性を担保しているそうだ。

自動製缶設備による製缶に成功した日本初の企業グループ


東洋製罐は日本で初めて自動製缶設備による製缶に成功した企業であり、同社が開発した「SABOT for Drone」は、消費者や市場が求めてきた多様なニーズに対応する容器を開発してきた同社だからこそ辿り着いた新しいプロダクト。

製品の国内特許については登録が済んでいるが、国際特許については出願している最中とのこと。今後は「薬剤・塗料・建築・土木・メンテナンス、ドローン関連メーカー・行政等との連携を強化してドローンを通じた新たな価値を生み出すサポートを展開する」としている。


東洋製罐グループホールディングス株式会社
https://www.tskg-hd.com/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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