宿泊と「お手伝い」を交換、旅人支援サービス「RONIN BANK」がホスト対象枠を拡大

旅人と地方を繋ぐシェアリングエコノミーサービス「RONIN BANK」が、ホストの登録対象を旅館業許可や民泊申請を行っていない法人・個人までサービスを拡大する。同サービスを通じて人手不足に悩む地域を活性化し、人や文化の交流を促進しながら、地方創生に取り組む意向だ。


2019年2月のサービス開始以降、RONIN BANKは宿泊場所を提供する「主人(ホスト)」の登録基準を、旅館業許可または民泊申請者に限定してきた。

しかし、地方の農家や飲食店、空き家対策等に取り組む関係者から、「高齢化や後継者不在による人手不足を解消したい」との要望が多数あったことを受け、ホストの登録基準の緩和を決断。旅館業許可や民泊申請を行っていない法人・個人も対象となり、地域が抱える諸問題解決に対して明るい兆しを見せている。

スキルと宿泊をマッチングする「RONIN BANK」

RONIN BANKは「必要な人を必要な場所に」をコンセプトに、個人が持っているスキルを提供することで、宿泊サービスの対価を受けることができる仕組み。「お手伝い」と「宿泊場所」の交換を行うため、そこに金銭のやり取りはなく、お互いが必要とするニーズに応え合う構造だ。


通常であれば、課題解決のためのスキルや宿泊場所に対して金銭を支払うことになるが、RONIN BANKにおいては、お金を介しない価値の交換が主流となる。同サービスでは、「RONIN」と「主人(ホスト)」の交流を促進し、人と人とを結び付けることで世の中をなめらかにする狙いがあるという。

対等関係で結ばれるRONINとホスト

RONINとは

RONINは、自身が持っているスキルを提供してホストを助ける利用者を指す。ただし、RONINは単なる労働者ではなく、ホストに対して価値を提供する奉公に近い役割。あくまでもRONINとホストは対等関係にあり、お互いに尊重し合う姿勢が求められる。

「お手伝い」の内容は、農作業や掃除、建物や備品などの修理・補修、プログラミング、ホームページ作成、接客などホストの業種や要望によって大きく異なり、時間は1日6時間程度としている。与えられた仕事をこなすだけではなく、得意分野を生かしながら「手伝えることは何でもする」という前向きな姿勢が必要とされる。

これらの「お手伝い」をすることで、ホストから「宿泊」という対価が支払われるシステムだ。単に無料で宿泊ができるというだけではなく、一番のメリットはホストやほかの旅行者とコミュニケーションを取ることができる点にある。RONIN BANKでは、利用者がその土地土地の伝統や文化にふれ、新たな知識や経験を積み重ねることで、地方への理解を深めてもらう意図がある。

ホストとは

一方、RONINの受け入れを行う宿主を「主人(ホスト)」と呼ぶ。ホストは簡易宿所など旅館業の営業許可を取得しているゲストハウスや農家民宿等が中心で、RONINに手伝ってもらう代わりに、宿泊できる場所や食事などを提供する役割だ。

ホストに求められる要素としては、以下の点が挙げている。

・RONINときちんとコミュニケーションが取れること
・多種多様な価値観を尊重できること
・宿泊場所を提供できること
・月ごとにRONIN BANKへ利用状況を連絡できること

単に「宿泊場所」を提供するだけではなく、積極的にコミュニケーションを取り、持っている知識や知恵をRONINに伝えることが推奨される。RONINは年齢や職業が多種多様であるため、事前に手伝ってほしい内容やスキルを伝えた上で迎え入れる必要があるとのことだ。

RONIN BANKの利用手順

< RONINの場合 >
■利用手順
1)「RONINになろう」から無料登録する(年齢18歳以上)
2)会員ページに進みホストリストを読む
3)有料会員登録を行う
4)希望のホストに申し込みを行う
5)ホストから回答
6) 日時と待ち合せ場所を相談し出発する

■年間登録費用
5000円(追加費用無料、有効期限1年間は利用回数に上限なし)

■必要なもの
交通費、食費(別途)、保険加入(適宜)


< ホストの場合 >
■利用手順
1)RONIN BANKにホスト登録する(法人・個人ともに可)
2)詳細な登録情報をRONIN BANKに送付する
3)RONINから連絡が入る
4)RONINに回答する(条件等を話し合う)
5) 日時と待ち合せ場所を相談しRONINを迎える

■年間登録費用
5000円(追加費用無料、有効期限1年間)


<参考サイト>
RONIN BANK
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WRITER LIST

  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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