農水省、2024年度「SAVOR JAPAN(農泊 食文化海外発信地域)」の募集を開始

農林水産省は、令和6年度(2024年度)「SAVOR JAPAN(農泊 食文化海外発信地域)」の募集を開始した。応募の〆切は2024年7月31日(水)となっている。


認定地域の郷土料理や食文化の魅力を海外に発信


SAVOR JAPANとは、食と食文化の魅力を伝えることでインバウンド誘致を図る農泊地域などについて、農林水産大臣が「農泊 食文化海外発信地域」として認定を行う取り組みだ。

地域の食・食文化の魅力をSAVOR JAPANブランドとして海外へ一体的かつ強力にPRすることで、インバウンド需要を農山漁村に呼び込むことを目指しており、これまでに全国で41カ所の地域が認定されているという。


観光庁が行った「訪日外国人消費動向調査」では、「訪日外国人が訪日前に期待していたこと」の第1位が「日本食を食べること」で、日本の食・食文化に対する関心が世界的に高まっているという。

また、和食のユネスコ無形文化遺産登録から10周年の節目を迎え、2025年には「大阪・関西万博」、2027年には「横浜花博」を控えていることから、日本の食・食文化をアピールし、地方への誘客を図る観点からも訪日外国人の受入体制を強化していく必要があるという。

そこで農林水産省は、地域の食・食文化の魅力とそれを生み出す農林水産業を核として、訪日外国人の誘致を図る農山漁村地域における優れた取り組みの募集を開始した。詳細は以下の通りだ。

応募団体

「農泊 食文化海外発信地域」実施要綱第3の8に定める実行組織が、単体で応募するもの。

応募資格
地域の食とそれに不可欠な食材を生産する農林水産業や特徴のある景観等の観光資源を活用して、訪日外国人旅行者をもてなすための取り組みであり、次の要件を満たすもの。

1.ビジョン・目標に関する事項
訪日外国人旅行者として来訪が見込まれる国・地域別の旅行者数、推奨すべき訪問先のルートの設定、受入施設の整備等について、明確なビジョン・目標を設定していること。

2.地域の課題に関する事項
取り組みを進めるに当たっての地域の課題(農林水産業の振興をはじめとする地域の総合的な振興、宿泊施設および飲食施設との連携、鳥獣害対策との連携、景観や環境保護との連携、地域の食文化の継承や食育との連携等)を明らかにするとともに、その解決に向けた方策およびこれに必要な経済活動(稼ぐ力、農山漁村振興交付金等の活用、民間資金の活用等)の方針を示すこと。

3.地域の食に関する事項
当該地域に特有で、伝統的に供されている料理が存在すること。

4.地域の農林水産業に関する事項
当該地域の食に必要となる農林水産物を生産する農林水産業が営まれていること。

5.地域の食と関連性のある地域資源に関する事項
当該地域の食や農林水産業との関連が説明できる文化、伝統工芸、芸術、自然、景観、伝承、生物等の地域資源が地域に存在すること。

6.地域の食と農林水産業に係るストーリーに関する事項
当該地域の食や農林水産業と関連性のある地域資源との関係が、当該地域に特有の歴史的なストーリーとして説明できること。

7.地理的範囲に関する事項
一の市町村の区域又は地理的、地縁的、文化的条件に一体性のある複数の市町村の区域を、地域の範囲として設定すること。

8.マネジメントに関する事項
(1)実行組織
ア.取組計画に記載された取組の実行組織においては、次に掲げる要件のいずれかを満たすこと。
・法人格を有していること又は当該年度内に法人格の取得が見込まれること。
・実行組織の中核となる民間組織が法人格を有していること又はその民間組織による当該年度内の法人格の取得が見込まれること。
イ.実行組織の構成員(※1)には地方公共団体が含まれていることが望ましい。 (※1 農業協同組合、漁業協同組合、観光協会、旅行業者、旅客業者、商工会議所、商工会、大学等の研究機関、博物館、料理学校、飲食店、宿泊施設、土産店、料理人、アドバイザー等を想定)
(2)品質の維持・向上を確保するための体制
取組計画に掲げる事項について、その品質の維持および向上を図るための取組状況のフォローアップや改善を実施する体制が整っていること。
(3)人材の育成および確保
・持続的に取組を実施するための人材の育成および確保について、女性やシニア世代の活用を含め、計画的に取り組んでいること。
・本地域の核である地域の食や農林水産業を、次世代に継承していくための方策に計画的に取り組んでいること。

9.インフラ等受入環境の整備に関する事項
(1)訪日外国人旅行者を呼び込むための飲食施設、観光施設、宿泊施設等の整備を計画的に行うこと。
(2)訪日外国人旅行者が旅行しやすい環境(多言語での観光案内・メニュー表示、Wi-Fi環境、トイレ、域内交通機関等)の整備を計画的に行うこと。

応募方法
以下3つの資料を用意し、農林水産省大臣官房新事業・食品産業部外食・食文化課食文化へメールで提出する。応募書類は、農林水産省ホームページよりダウンロード可能。

・ 取組計画書
・ 取組計画書概要版
・ 実行組織又は実行組織の中核となる民間組織の直近三年分の決算(事業)報告書その他財務状況に関する参考資料

募集期間
2024年6月3日(月)~2024年7月31日(水)18:00必着

選定方法
申請のあった取り組みの中から、特に優れたものを「SAVOR JAPAN(農泊 食文化海外発信地域)」として認定。選定過程においては、現地調査またはヒアリングを行う場合がある。

SAVOR JAPAN認定地域への支援
・SAVOR JAPANがオールジャパンのブランドであることを広く普及していくために、農林水産省のホームページやSAVORJAPANのブランドサイトにおいて、一元的な情報発信を行い、海外および訪日外国人に対する訴求力を高める。
・専門家を派遣し、食体験の掘り起こしと、その磨き上げを支援を行う。
・旅行関係者の参加する商談会への参加を支援する。
・研修会等を開催し、知識の習得、事例の共有、認定地域間のネットワーク化を支援する。
・政府関係機関による支援策等をタイムリーに発信する。

認定結果については、2024年12月頃に農林水産省のホームページで公表予定だ。また、後日東京都内で開催する認定証授与式において、認定証が交付されるという。


農林水産省
https://www.maff.go.jp/index.html

令和6年度「SAVOR JAPAN(農泊 食文化海外発信地域)」の募集開始!
https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/wasyoku/240603.html
「SAVOR JAPAN(農泊 食文化海外発信地域)」実施要領
https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/wasyoku/attach/pdf/240603-1.pdf
「SAVOR JAPAN(農泊 食文化海外発信地域)」応募要領
https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/wasyoku/attach/pdf/240603-2.pdf
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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