メーカー間のデータ連携を推進する 「農機API共通化コンソーシアム」始動

農研機構は、メーカー間で仕様が異なる各種農業データを相互に連携して、農業分野のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進する「農機API共通化コンソーシアム」の活動を開始した。

農機API共通化のイメージ
出典|https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/iam/143389.html

内閣府が設置する規制改革推進会議は、トラクターやコンバイン等の大型農機が取得した位置情報や作業記録等のデータを、当該農機メーカー以外が作ったソフトでも利用できる仕組みであるオープンAPIの整備を令和3年度までに実施する方針を固めた。

それに応じて農林水産省では令和2年に「農業分野におけるオープンAPI整備に向けた検討会」を実施。令和3年2月には、農業者が利用するデータの洗い出しやデータ連携の在り方等を示した「農業分野におけるオープンAPI整備に関するガイドライン」を策定している。

実用的なデータ連携の実現を目指す


「農機API共通化コンソーシアム」は、農業データを連携・共有する環境整備を支援して、データを活用した農業を推進する「スマート農業総合推進対策事業・農林水産データ管理・活用基盤強化事業」の一環で設立された官学民一体の共同事業体である。

2021年5月21日に開催した第1回事業検討委員会では、コンソーシアムの事務局である農研機構から、事業の推進体制や具体的方針の説明がなされたほか、農研機構が運用する農業データ連携基盤「WAGRI」へのAPI実装計画の策定等の成果目標が示されたそうだ。

コンソーシアムでは、「農業情報創成・流通促進戦略に係る標準化ロードマップ」、「農業分野におけるオープンAPI整備に関するガイドライン」、「農業分野におけるAI・データに関する契約ガイドライン」の3つの趣旨を柱に、農業機械・機器メーカー、ICTベンダー、業界団体、研究機関らが共同で各種データの連携に向けた取り組みを実施。

圃場向け農業機械・穀物乾燥調製施設・施設園芸機器の3分野のワーキンググループを設置して、農業者、農業用ソフトウェア製造事業者、学識経験者、関係団体等の有識者で構成された事業検討委員会の指導の下、「農機オープンAPIの標準的な仕様等について検討を進める」としている。

「農機API共通化コンソーシアム」参加機関
出典|https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/iam/143389.html

「農機API共通化コンソーシアム」実施体制
出典|https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/iam/143389.html

取り組みの具体的内容は以下の通りだ。

  1. 農業機械等から得られるデータを連携・共有するための協調データ項目の特定・拡大とデータ形式の標準化
  2. APIの標準的な仕様の整備と設計
  3. APIの農機・機器メーカーシステムおよび農業データ連携基盤(WAGRI)への実装
  4. データ連携の検証
  5. データの利用権限等取扱いルールの策定

今後は、農機オープンAPIの規格化が進む海外事例の調査やシンポジウムの開催も予定している。


農機API共通化コンソーシアム
https://www.naro.affrc.go.jp/org/brain/iam/API/index.html
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
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    川島礼二郎
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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