トマトの水耕栽培向け自動灌水システム「うるおい力持ち」が登場

電気制御技術を活用して企業や農業の省力化を推進する山本電機株式会社は、トマトを栽培するポットの重量から必要な水分量を算出し、灌水を自動で実行する水耕栽培向けの自動灌水システム「うるおい力持ち」を開発した。

植物重量モニタリング型の給液制御システム


「うるおい力持ち」は、ポットの重量を計測する吊り上げ式の「重量センサー」、ハウス内の温度・湿度・CO₂濃度・土壌EC等のデータを取得する「制御盤」、ポットの最大重量の変化を自動で補正する「マットスイッチ」の3つの機器を使用して、トマトの成長に必要な水分を自動で補給していく植物重量モニタリング型の給液制御システムである。

システム概要図

重量センサー

制御盤

マットスイッチ

特長は以下の通り。

1.ポットの重量を連続的に計測して灌水を自動で実行
出典:https://prtimes.jp/a/?f=d98381-20220607-1400d13b29908d6fffc8a9b706b59e89.pdf

初回の灌水を施した1つのポットの最大重量を基準値に、最適な灌水の量・時間・タイミングを決定。
水分の蒸発等によってポットの重量が減少すると自動で水分が補給される。

2.水分ストレスを自由にコントロール
出典:https://prtimes.jp/a/?f=d98381-20220607-1400d13b29908d6fffc8a9b706b59e89.pdf

1回当たりの灌水量と1日当たりの灌水回数が反比例する仕組みを利用してトマトの水分ストレスをコントロール。
これにより、糖度重視(水分ストレス=多い)や収量重視(水分ストレス=少ない)など、生産者それぞれの考え方に即した農業生産に対応していく。

3.精密な灌水作業
出典:https://prtimes.jp/a/?f=d98381-20220607-1400d13b29908d6fffc8a9b706b59e89.pdf

天候の変化に応じて1日当たりの灌水の回数を自動で変更。
これにより、日射量に応じて灌水の頻度やタイミングを決定する灌水方法である日射比例灌水を上回る高精度な灌水作業が可能に。

4.生育状態の確認
出典:https://prtimes.jp/a/?f=d98381-20220607-1400d13b29908d6fffc8a9b706b59e89.pdf

制御盤に取り付けたタッチパネル式の画面を使用して、トマトの生育状態や灌水作業の履歴を確認。
別売りの無線機器を取り付ければ、パソコンやスマートフォンを利用してハウス内の環境を遠隔から確認・制御できるようになる。

5.マットスイッチを使用した最大重量の自動修正
出典:https://prtimes.jp/a/?f=d98381-20220607-1400d13b29908d6fffc8a9b706b59e89.pdf

摘芯や葉かき、収穫などポットの重量変化が伴う作業を行う際は、踏む前と踏んだ後の重量の差分を測定し、最大重量を自動で修正するマットスイッチを敷く。これにより、ポットの重量が変化した後も、最適な量・時間・タイミングでの灌水が維持される。

6.生育状況に合わせた灌水パターンの設定と既存設備との連携


出典:https://prtimes.jp/a/?f=d98381-20220607-1400d13b29908d6fffc8a9b706b59e89.pdf

生育状況に合わせ分類した4つの系統を対象に、それぞれの灌水パターンを設定できる仕様も用意。
栽培トレーごとを持ち上げての灌水や送水ポンプや電磁弁、液肥混入機など生産者が使用する既存設備との連携にも対応。

同社は「うるおい力持ち」の提供を通じ、独立ポット耕栽培を導入したトマト生産のスマート化を推進していく構えだ。

製品概要


品名:うるおい力持ち
型式:YOMAV-191G(1系統)/YOMAV-194G(4系統)
電源:AC100V/200V(50/60Hz共用)
付属:重量センサー1個・マットスイッチ1個(YOMAV-191G)/重量センサー4個・マットスイッチ4個(YOMAV-194G)
外形寸法:横400×縦400×奥行200(㎜)
オプション:Wi-Fiを利用してタッチパネルの画面をスマートフォンの端末に表示するための部品(5000円程度)

 
山本電機株式会社
https://yamamoto-denki.jp/
SHARE

最新の記事をFacebook・メールで
簡単に読むことが出来ます。

RANKING

WRITER LIST

  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
  4. 鈴木かゆ
    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
  5. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
パックごはん定期便