農研機構、栽培環境を精密に再現する「ロボティクス人工気象室」の運用を開始

農研機構は、「栽培環境エミュレータ」と「ロボット計測装置」の2つの装置を組み合わせて構築した「ロボティクス人工気象室」の運用を開始した。

出典:https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/rcait/154498.html

「栽培環境エミュレータ」は、温度や湿度、CO2濃度などの気象因子を組み合わせて農作物の栽培環境を精密に再現する人工気象室。

過去の気象データや実現したい気象データをパソコンで入力して室内の環境を遠隔から制御できるのが特長で、従来の人工気象室の課題であった光の再現性を解決する高出力なLEDも装備している。

「ロボット計測装置」は、農作物の大きさや色などの形質の変化を連続的に計測する画像収集装置。

室内に取り付けた複数のカメラを使用して、農作物の形質の変化を自動で撮影するのが特長で、深層学習を利用した解析が可能なAI解析プラットフォームとも連携している。

出典:https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/rcait/154498.html

スーパーコンピューター「紫峰」と連動


今回、運用を開始した「ロボティクス人工気象室」は、さまざまな環境下で栽培する農作物の形質の変化を計測できるようにした装置。

AI研究用のスーパーコンピューター「紫峰」と連動しているため、「農研機構統合DB(ナロ リンクド データベース)」に含まれる病害虫や気象データ、遺伝資源、ゲノム情報等の農業データを用いた複合的な解析が可能。また、セキュリティ対策を講じた安全性の高いアクセス環境を整えることで、民間企業や大学、公設試験研究機関、JA、産地など外部機関のパソコンからもアクセスできるという。

出典:https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/rcait/154498.html

農研機構は、「ロボティクス人工気象室」の運用を通じ、農作物の収穫時期や収量、品質等を精密に推定することで、気候変動に対応した農業技術の開発を推進していきたい考えだ。


農研機構
https://www.naro.go.jp/index.html
SHARE

最新の記事をFacebook・メールで
簡単に読むことが出来ます。

WRITER LIST

  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
パックごはん定期便