NTTデータ関西、直売所の需要予測AIサービス「アグリアスエ」を2023年より発売

株式会社NTTデータ関西は、農産物直売所に特化した需要予測サービス「アグリアスエ」を2023年4月から提供する。同社にとって初の農業分野のサービスとなる。

アグリアスエは、独自のAIエンジンにより農産物直売所の客数を予測し、最適な販売価格・数量の決定を支援する業務特化型のサービス。本サービスを通して、農作物の売り切れによる機会損失と売れ残りに伴う廃棄を極小化し、「農産物直売所の価値向上」と「提携する生産者の所得向上」に貢献するという。

農産物直売所と提携生産者(農家)のアグリアスエ利用イメージ(画像提供:NTTデータ関西)
農産物直売所の多くは生産者からの委託販売が中心であり、委託する生産者は、出荷当日に最も食べ頃の農作物を収穫し、提携する農産物直売所へ出荷している。しかし、その日の天候や客足により農作物の売れ残りによる廃棄や売り切れによる機会損失が発生していた。

そのため、多くの農産物直売所が以下のような課題を抱えている。

  1. 消費者の客数や販売見込み数量の予測
  2. 提携する生産者へ農作物別の販売見込み数量や価格に関するタイムリーな情報提供および共有
  3. 複数店舗を運営している場合、各店舗で販売する農産物の数量の最適化

「アグリアスエ」により、農産物直売所の作業効率や収益の安定化による価値向上と、生産者の所得向上に貢献することを目指している。


「アグリアスエ」の主なメリット


「アグリアスエ」では、独自のAI予測エンジンにより予測数値を算出。PoC(概念実証)を一定期間実施して、前後10%以内の予測精度が確認できたという。より具体的なメリットは以下の3点だ。

(1)農産物直売所と提携生産者の経営の安定化
直売所スタッフの手間をかけることなく生産者に販売見込み数量を伝達し、生産者は売り切れによる機会損失や売れ残りによる廃棄リスクの極小化を考慮した適切な販売数量を出荷します。

また、農産物直売所が複数店舗経営の場合は、集荷場やハブ店舗から、どの店舗へ何を何個出荷するかの意思決定にも活用できます。これにより、農産物直売所と提携生産者の経営の安定化に貢献します。

(2)提携する生産者の所得向上
提携生産者は、アグリアスエが提供するAIを用いた精度の高い客数予測や気象データ、過去の販売実績データなどを通して、適切な販売数量と販売価格の意思決定を行うことができます。

これにより、売れ残り回避のための需要を大きく上回る出荷の抑制や、売れ残りによる廃棄コストを極小化し、所得の向上に貢献します。

ひいては、社会課題としての側面でもある、担い手不足の解消にも寄与します。

(3)農産物直売所の価値向上
消費者にとっては、新鮮で欲しい農作物が購入できること、生産者にとっては、機会損失や廃棄ロスを極小化し、消費者のニーズに即した適切な数量と価格で販売できることから、消費者と生産者の両者からも選ばれる農産物直売所としての価値向上に貢献します。


同社は今後、全国の農産物直売所および道の駅への導入を目指すという。また、提携生産者も含め、顧客ロイヤルティ向上を支援するサービスも予定している。


アグリアスエ|NTTデータ関西
https://www.nttdata-kansai.co.jp/agriase/

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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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