アグリツリーとJXTGホールディングス、ソーラーシェアリング事業の資本業務提携を発表

2019年8月20日、営農型太陽光発電の普及に取り組む株式会社アグリツリーは、持続可能な食とエネルギーの未来に向け、JXTGホールディングス株式会社と資本業務提携に至ったと発表した。同提携にあたっては、ソーラーシェアリング事業の普及・促進を図り、農業者のコスト削減や収益向上にも繋げていく方針だ。


営農と売電を両立する「ソーラーシェアリング」

アグリツリーは、2018年7月に福岡県那珂川市で旗を上げてから、国内外の営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)事業や農業経営のサポート、エネルギーマネジメントなどを展開するスタートアップだ。

営農型太陽光発電とは、農地を農作物の生産に利用しながら、 その上部空間に太陽光発電設備を設置することで営農と発電を同時に行う新たな事業形態を指す。特に、同社が提供するソーラーシェアリングは発電時にCO2を排出せず、炭素を農地中に貯留する技術を採用しており、より環境に優しい発電システムを実現した。

設備としては耕作地に架台を設置し、その上に細長い太陽光パネルを並べて発電するため、即下の農地への日照が遮られることなく、適切な営農と売電事業の両立が可能となる。

同社は、こうした発電事業の普及を目的に国内企業や団体、自治体との連携を推進。そのうち長崎県のハウステンボスでは、自家消費型ソーラーシェアリングの企画や補助作業の認定、建設に至るまでをトータルサポートした経緯がある。


エネルギーの創造と革新への提携

一方、JXTGホールディングスは燃料油の販売や電力小売などを通じ、エネルギーの安定供給と資源開発に取り組む総合エネルギー企業だ。同社は、長期的な経営方針である「2040年JXTGグループ長期ビジョン」で掲げた目標の一つ、「低炭素・循環型社会への貢献」に資するものとして、営農型太陽光発電に着目してきた。

2018年には、新規事業の共創と経営資源の活用を目的に、「JXTGアクセラレータープログラム2018」を開催。同プログラムに参加したアグリツリーのビジネスプラン「営農型太陽光発電の発展」が優秀賞を受賞したことから、今回の資本業務提携が成立した。


同提携にあたっては、アグリツリーが持つ営農型発電の技術及びノウハウと、JXTGホールディングスが有する電力の安定的な販路を相互活用する見通しとなっている。

今後はアグリツリーが各案件の開発を進める一方で、JXTGホールディングスは、営農型発電事業者が発電した電力の買い取り体制を整えるとともに、ソーラーシェアリングや再生可能エネルギーの普及を促進していく方針だ。


<参考URL>
株式会社アグリツリー
JXTGホールディングス株式会社
JXTGアクセラレータープログラム2019
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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