日本農業情報システム協会、農業のチーム経営をデジタルの力でサポートするサービスを開始

一般社団法人日本農業情報システム協会は、農業法人や集落営農組織のチームによる農業経営をデジタルの力でサポートする「農業経営体のチーム経営力強化サービス」の提供を開始した。あわせて、農業DX支援人材を育成するトレーニングプログラムを開始した。


チームによる農業経営をデジタルの力でサポート


一般社団法人日本農業情報システム協会(以下、JAISA)は、ICTの活用による効率化やスマート化によって農業を支援する活動を行っている組織。2014年の設立以来、全国各地の農業現場でのICT活用の支援に取り組んでいる。

生産年齢人口が減少し、農業の担い手不足が深刻化する中、ロボットやAI、IoT等の先端技術を活用し、農業の生産性向上や労働力不足の解消を図ることが急務となっている。

スマート農業技術を活用して持続可能な農業経営を実現するためには、数ある製品・サービスの中から、目の前の課題解決に活かせるものを探し、現場にあてはめて使いこなす知恵と工夫が必要だ。

また、内外の経営環境が激変し、農業経営が複雑化している昨今では、スマート農業の活用に限らず、農業者同士が集い、情報と知恵をシェアすることが不可欠であり、個人ではなくチームで農業を経営していくことが重要になっているという。

そこでJAISAは、農業法人や集落営農組織などを直接支援し、チームによる農業経営をデジタルの力でサポートする「農業経営体のチーム経営力強化サービス」の提供を開始した。


このサービスは、農場の現状アセスメントを通じて課題の分析と可視化を行い、今後の経営改善の方向性を整理して、スマート農業技術の活用にあわせた業務効率化やデータ活用、人材育成など、チームによる農業経営をデジタルの力でサポートするというもの。具体的には、以下4つのステップで進めていく。

ステップ1

農場の経営状況や業務課題について、アセスメントシートを使ってセルフアセスメントを行い、「経営環境の変化」「共働の仕組み」「リソース配分の見直し」「人的資本管理」「品質と生産性」の5つの項目から農業経営体の状況にフィットするものを選択して整理を行う。その上で、5年程度先を見据えた農場のありたい姿を組織ビジョンとして言語化・可視化する。

ステップ2

農場の年間スケジュールや作業計画、役割分担、基本手順など、業務に必要不可欠な情報を整理していく。ホワイトボードやモニター、壁面なども活用し、文書化と掲示等さまざまな手法を組み合わせて見える化を行う。

ステップ3

農場経営におけるKPIや作業標準などの基準値、改善目標を定めていく。改善目標を実現するための技術・機械・道具・手順・人材等の整備改善計画を策定し、段階的な導入、活用を支援する。

ステップ4

施策の実行経過を定期的に測定し、到達点の定量的・定性的な把握を行う。認識の共通化、ベクトル合わせのためにチーム内での対話をし続ける方策や場づくりを支援する。また、成果の振り返りを行い、次の打ち手を策定していく。


さらにJAISAは、全国各地で地域に密着して農業経営体の伴走支援を行う「農業DX支援人材育成プログラム」も開始した。

このプログラムは、特定非営利活動法人ITコーディネータ協会の協力のもと、全国からITコーディネータを募り、農業の経営課題やスマート農業技術、業務改善、情報共有、人材育成など、チームマネジメントに必要な知識を網羅的に修得できるというもの。

地域に密着した農業DX支援人材を育成する6日間のWeb研修のほか、JAISA会員企業が提供する製品サービスの学習会、課題図書による自主勉強会などを実施している。なお、現在は約40名のITコーディネータがプログラムに参加しているという。

JAISAは、今回開始したサービスやプログラムを通じて、デジタル技術を活用して持続的な農業経営を実現できる人材をサポートし、地域を支える農業DXの加速、農業者の利益拡大など、経営安定化に貢献していくとのこと。


一般社団法人日本農業情報システム協会
 https://jaisa.org/
特定非営利活動法人ITコーディネータ協会
https://www.itc.or.jp/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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