水田の水位管理を省力化する農業用スマートバルブ「paditch valve 01」新発売

スマート水田サービスを展開する株式会社笑農和(本社:富山県滑川市、代表取締役:下村豪徳 氏)と、マサル工業株式会社(本社:東京都豊島区、代表取締役社長:椎名 吉夫 氏)がスマートバルブpaditch valve 01(パディッチバルブゼロワン)の協業販売を発表した。


株式会社笑農和(えのわ)×マサル工業株式会社



株式会社笑農和(えのわ)は、“IT農業を通じて笑顔の人の和をつくり社会に貢献する”を理念に、テクノロジーを活用した次世代のスマート水田の実現に向け、開水路向けのスマート水田サービス「paditch(パディッチ)」を開発・運営している農業ITベンチャーである。

今回新たに開発したpaditch valve 01は、遠隔操作・自動制御により水田の水位管理を省力化できるサービスで、paditchのノウハウをベースに、農研機構生研支援センターの革新的技術開発・緊急展開事業(経営体強化プロジェクト)による支援のもと開発された。


マサル工業株式会社は、田んぼへの給水等で使用される農業用バルブの製造等、農業用資材や合成樹脂製品等の製造・販売を行う創業65年の老舗メーカーだ。

同社のMH型フィールドバルブは、全国の水田のパイプラインに広く使用され、2019年現在で16万台以上が設置されている。

農業用給水バルブのスマート化


笑農和(えのわ)が開発した農業用スマートバルブpaditch valve 01を、マサル工業のMH型フィールドバルブにアタッチメントを介して連結すれば、すべてのバルブ(対応サイズ50φ、75φ)のスマート化が可能となっている。


今回の協業では、全国の主要都市に事業拠点を持つマサル工業が、paditch valve 01の販売代理店となり、笑農和と共同で全国の農業者や土地改良区、自治体等へ販売や導入支援、保守サポート等を行ってい方針だ。

paditch valve 01の特徴


①既存の水田パイプライン用バルブに後付けすることができるため、バルブ本体の交換工事は不要。すでに設置されているバルブを簡単にスマート化できる。
➁既存のバルブと連結する方式を採用しているため、部品点数の削減など従来製品と比較して、圧倒的な導入コストの削減を実現。
③複数のスマートバルブを利用することを想定し、通信回線の集約が可能なLPWA※を通信技術としたLoRaWANを採用。携帯電話回線を1基地局のみに集約し、大幅なランニングコストの抑制に成功。

※ LPWA(LowPower, Wide Area):IoT/M2M(Machine to Machine)に適した低消費電力かつ長距離通信を特徴とする無線通信技術。LoRaWANはLPWAの一種の無線通信プロトコル。

paditch valve 01本体と専用の水田センサー、LPWA基地局や操作のためのアプリケーションを組み合わせて利用する。
価格は税別49,800円で5セット以上での販売を予定。


2020年度には全国で500台の販売数を見込んでおり、2019年11月からはじまる申し込みに先立ち、paditch valve 01の設置可否を診断するための無料現地調査の受付を2019年9月1日からスタートさせた。

今回の協業では農業者の負担軽減や生産性の向上を期待されており、両社は「今後も農業分野のスマート化のソリューションを提供し農業分野の発展に貢献していく」と考えを述べた。

<参考リンク>
株式会社笑農和
マサル工業株式会社
無料現地調査申し込み
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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