NTTアグリテクノロジー、初期費用不要の「野菜自販機の提供サービス」をスタート

株式会社NTTアグリテクノロジーは、野菜自販機を初期費用不要で提供するサービスを2023年11月2日(木)から開始した。生産者が利用しやすい野菜自販機を通じ、地産地消促進および農作物の盗難被害防止を目指す。

野菜自販機のイメージ

適正価格の提案や販促資材の提供など販売サポートも


コロナ禍以降、無人販売の店舗は増え、市場規模は約2兆円とも試算されている。しかし、自販機を用いた野菜の無人販売は初期投資が高いこともあり、個人の生産者が設置を行うことはハードルが高い状況にあるという。

また、農業は比較的環境負荷が高い産業といわれており、フードマイレージの観点からも生産者の軒先で野菜を販売するなどの地産地消の取り組みが大切であるといわれている。

そこで同社は、生産者が軒先販売を導入しやすいよう、野菜の自販機を生産者へ無償で提供し、自販機での売上の一部を手数料として貰う仕組みを構築。

軒先販売における価格設定やPOPの作成などのサポートなど、適正価格の提案や販促資材を提供する販売サポートも同時に行うことで、売上の向上と地産地消の促進を目指す。

自販機は、電源不要のシンプルタイプから冷蔵機能付きまで複数の機種を提供。生産品目や希望の設置場所等により最適な機種を提案してくれる。例えば、無電源のロッカー式自販機の場合、電源が必要ないためどこでも設置できるほか、7段3列の21ポケットごとに100円から600円までの間で金額の設定が可能だ。

初期費用不要で誰でも容易に導入でき、自動販売機での売上に応じて手数料を支払う仕組みのため、農閑期や生育不良等の影響を受けない。私有地であれば基本的に届け出や申請が不要なため、朝採れの野菜を什器や集金箱の準備をせずにすぐに販売できる(※保健所等に確認が必要な場合もあり)。

また、通常は農作物の無人販売は盗難や過少入金のリスクが伴うが、自動販売機の導入により、農産物や金銭の盗難を防げるほか、過少入金のリスクを無くすことができる。

利用生産者の声(東京都国分寺市・嶋崎農園)


「軒先無人販売を行っていた際には、年間10万円ほど盗難にあっていましたが、自販機の設置にあたっては初期投資が高く、なかなか購入に踏み切れていませんでした。今回、小規模農業者が利用しやすい、売上に応じて手数料を支払うモデルをご提案いただいたおかげで、自販機の導入ができました。」

同社は、今後も地産地消の促進と無人販売での盗難被害を防ぐため、初期費用不要・売上に応じた支払いモデルを採用した自販機を生産者に広く導入することを目指すとともに、各自治体や農業関連団体と連携して、農を起点とした街づくりを推進していく構えだ。


株式会社NTTアグリテクノロジー
https://www.ntt-agritechnology.com/
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  1. 加藤拓
    加藤拓
    筑波大学大学院生命環境科学研究科にて博士課程を修了。在学時、火山噴火後に徐々に森が形成されていくにつれて土壌がどうやってできてくるのかについて研究し、修了後は茨城県農業総合センター農業研究所、帯広畜産大学での研究を経て、神戸大学、東京農業大学へ。農業を行う上で土壌をいかに科学的根拠に基づいて持続的に利用できるかに関心を持って研究を行っている。
  2. 槇 紗加
    槇 紗加
    1998年生まれ。日本女子大卒。レモン農家になるため、大学卒業直前に小田原に移住し修行を始める。在学中は、食べチョクなど数社でマーケティングや営業を経験。その経験を活かして、農園のHPを作ったりオンライン販売を強化したりしています。将来は、レモンサワー農園を開きたい。
  3. 沖貴雄
    沖貴雄
    1991年広島県安芸太田町生まれ。広島県立農業技術大学校卒業後、県内外の農家にて研修を受ける。2014年に安芸太田町で就農し2018年から合同会社穴ファームOKIを経営。ほうれんそうを主軸にスイートコーン、白菜、キャベツを生産。記録を分析し効率の良い経営を模索中。食卓にわくわくを地域にウハウハを目指し明るい農園をつくりたい。
  4. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  5. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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