独立リーグ「美唄ブラックダイヤモンズ」が自動飛行ドローン防除で地域に貢献

特定非営利活動法人美唄ブラックダイヤモンズと株式会社ナイルワークスは、持続可能な農作業モデルの構築の実現に向けた業務提携を締結した。両者は、北海道美唄市で野球選手によるドローンを活用した農作業の可能性に取り組む。


美唄ブラックダイヤモンズは、プロ野球独立リーグ・北海道フロンティアリーグに所属するプロ野球チーム。

地域密着型の球団として、プロ野球選手を目指す若者たちの移住定住や選手のセカンドキャリアへのサポートに力を注いでいる。選手たちは、「with キャリア」として市内の企業などで働きながら野球に打ち込み、自分自身の夢を達成するために、日々活動している。

北海道日本ハムファイターズOBである金子洋平氏を監督に、
岩本勉氏をスペシャルアンバサダー兼テクニカルアドバイザーに迎え、
野球を通じた地域活性化に取り組んでいる。

ナイルワークスは、農業用ドローンの開発・製造・販売等を手がける企業。2018年に販売を開始して以来、全国延べ15000ヘクタール以上の防除実績がある。

ナイルワークスの農業用ドローン
作物の上空30~50㎝を完全自動飛行するため、操縦熟練度によって散布ムラができず、
誰が飛ばしても均一な散布が可能という。

ドローンを活用した防除に挑戦


北海道美唄市は、行政面積(2万7769ヘクタール)の3分の1を占める広大な農地(9451ヘクタール)を利用して、水稲(全道第6位 ※令和元年度、以下同様)や小麦(全道第25位)、大豆(全道第5位)、なたね(全道第1位)など、さまざまな農産物を生産している。

近年、農地面積は大きく変わらない一方で、農家戸数の減少や農家の高齢化が進行し、農地の集約化や法人化による営農規模の拡大が進んでいるという。

そのため美唄市では、基盤整備による農作業の省力化・効率化を地域で検討・推進するため、令和元年に美唄市ICT農業推進協議会を設立。令和2年度には、ナイルワークスの農業用ドローンの技術検証を行った。

美唄市には地域の防除組織があるが、担い手不足によるオペレーターや補助員不足が懸念されている。一部地域においては、市外の防除組織に防除作業を委託する体制を整えてきたが、「農家の要望に応じた迅速かつ柔軟な対応がとりにくい」という課題を抱えていた。

そこで、ナイルワークスは、令和3年度より美唄市ICT農業推進協議会に加入し、3年計画で実証事業を展開。現在は、美唄ブラックダイヤモンズの選手たちがドローンを活用した防除に挑戦している。

美唄市ICT農業推進協議会の実証事業の様子

野球と防除作業を両立
早朝に防除作業を行い、その後、日中の野球の練習や試合に励む選手たちの姿が地域の賑わいにつながっているという。

防除に参加した選手たちは、「農業はド素人でも、ドローンの操作が簡単なので、協力できることがうれしい」、「農家さんからも感謝してもらえるので、やりがいがある」と語っているとのこと。

両者は、「美唄ブラックダイヤモンズの選手たちの労働力とナイルワークスの自動飛行ドローンにより、地域で持続可能な農作業モデルの構築を目指すとともに、地域の労働力で農業を盛り上げ、地域活性化と経済振興を図っていく」としている。


特定非営利活動法人美唄ブラックダイヤモンズ
https://bibai-blackdiamonds.com
株式会社ナイルワークス
https://www.nileworks.co.jp
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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