三ツ星ファーム、遠隔で従業員の健康管理ができるウェアラブルデバイス「TwooCa Ring」を導入

乳酸菌や微生物を用いた独自の水耕栽培技術を開発し、和歌山県でレタスの生産・販売などを行っている株式会社三ツ星ファームは、株式会社KortValutaが取り扱うVISAのタッチ決済機能と健康管理機能が一体となったリング型のウェアラブルデバイス「TwooCa Ring」を導入すると発表した。

これにより、本社から離れた山麓部で農作業を行う従業員の健康管理が遠隔から行えるようになる。


農業系企業としては世界初の導入


「TwooCa Ring」は、心拍数や睡眠の状態、歩数、消費カロリー、体温などのデータ収集ができるカード決済機能を備えたリング型のウェアラブルデバイスである。

「TwooCa Ring」の導入により、今後は本社から離れた山麓部で農作業を行う従業員に急な体調不良が発生したとしても、危険信号がすぐに発信されるため、迅速な救助アクションが可能になるとともに、万全な体調ではないと判断した従業員に対し的確な休養をアドバイスできるにようになる。

三ツ星ファームの和歌山農園

Kort Valutaの柴田代表(左)と三ツ星ファームの江川代表(右)

株式会社三ツ星ファーム代表の江川氏(左)と最高技術責任者の尾上氏(右)※三ツ星ファーム和歌山農園で撮影

個人農家や海外からのグローバル人材への導入も


農作物の品質やトレーサビリティが重要視されてきている中、三ツ星ファームでは「GLOBALG.A.P.認証」を取得している。「GLOBALG.A.P.認証」とは、食品安全、品質管理、環境保全などに配慮した「持続的な生産活動」を実践する優良企業に与えられる世界共通のブランドである。

しかし、三ツ星ファームとしては、農作物を作る従業員の心身の健康にもこれまで以上に意識を向ける必要があると考えているという。従業員の心身の健康を維持・増進することは、農作物の安定的な栽培にもつながり、また顧客の満足は従業員のモチベーションの向上にもつながり、より良い農作物の栽培に力を注ぐことにつながる。

また、世界では新型コロナウイルス感染症拡大の影響を背景に、以前よりも心身の健康の重要性を強く実感している企業が増えている。

三ッ星ファームが注目しているのが「そもそも農作業自体に心を癒す効果が存在する」という考えだ。

ウェルネスを正しく取り入れた農業体制を整えることで、農業こそ最高のパフォーマンスと良好な循環を実現できるのではないかと考え、このような好循環を目指す上で、「TwooCa Ring」のような先端技術を活用した健康管理技術の導入は大変効果的であるとしている。

三ツ星ファームでは、「TwooCa Ring」を多くの農業従事者に普及させることで、日本の農業界全体の発展に寄与したいと考え、今後はKort Valutaの協力の下、農業関連の企業や個人農家などを対象に「TwooCa Ring」 の導入をサポートしていく。

2023年9月6日東京都内で開催された「TwooCa Ring」の詳細発表イベントの様子

また、日本の農業は、少子高齢化による担い手不足が大きな課題となっており、農業従事者の平均年齢は68.4 歳(2022年)であり、今から少子化対策を実施しても、担い手が農業に従事できるようになるまでには多くの時間を要する。

日本の農業技術を継承し、支え続けていくためには、少子化対策を実施するのと並行し、グローバル人材の受け入れが必要不可欠だが、受け入れの際に重要になるのは海外から来る人材の心身の健康の確保。

グローバル人材の健康管理は本人だけでなく、遠く離れた母国の家族にも共有することで今までにない安心感を与えることができると考え、三ツ星ファームでは、海外からのグローバル人材への導入も視野に、「TwooCa Ring」の活用を進めていく構えを示している。


株式会社三ツ星ファーム
https://higasasu-farm.com/
株式会社KortValuta
https://kortvaluta.com/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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