持続可能な農業の未来を切り拓く「GAP Japanアワード」の受賞者が決定

一般財団法人 日本GAP協会は、GAP(Good Agricultural Practices)の普及を一層推進し、持続可能な農業の未来を切り拓く、優れた取り組み事例を表彰する「GAP Japan アワード 2024」の4事例を決定した。

「GAP Japan アワード」とは


GAPとは農畜産物を生産するうえで生産者が守るべき取り組みのことを指し、「良い農業の取り組み」と訳されている。

日本GAP協会が運用管理するJGAPASIAGAPは、食品安全、環境保全、労働安全、農場管理、人権の尊重、家畜衛生やアニマルウェルフェア(動物福祉)の取り組みを基礎とした農場の認証制度であり、持続可能な農業の実現、SDGs の推進に大きく貢献する。

また、農林水産省においてもGAPの推進を重要な政策課題としているところであり、多くの食品事業者から支持されるとともに、2025年の大阪・関西万博における調達基準にも採用されている。



「GAP Japan アワード」は、年に一度、GAPの普及を一層推進し、持続可能な農業の未来を切り拓く、優れた取り組み事例を表彰するもの。2024年は「GAP Japanアワード2024」選考委員会において、4例の優良事例を選定した。


「GAP Japan アワード 2024」受賞者

※以下、プレスリリースより引用。

会津よつば農業協同組合 南郷トマト生産組合
- 100年続く産地を目指して! 産地まるごとGAP認証! -


  • 「100年続く産地」を目指すためにJGAP団体認証に取り組み
  • 品質管理の統一のみならず、産地の長期持続のために不可欠な新しい経営者の参入と経営能力の向上に、GAP認証を「良い農業の教科書」として活用
  • 6年間かけて段階的な取り組みを続け、令和6年に組合員全戸での認証を取得

福島県南会津郡の「会津よつば農業協同組合 南郷トマト生産組合」は、昭和37年からトマト栽培を始め、現在102戸の生産者が30haでブランドトマト「南郷トマト」を生産しています。販売額は12億円を超え、Iターン就農者23戸を含む生産者が積極的に新規就農者を受け入れています。

令和元年から、産地全体で品質管理を統一するためにGAPの団体認証を導入し、段階的に取り組んだ結果、全102戸の生産者が認証を取得しました。これにより、産地の持続可能性を高め、新規就農者の支援にもつなげています。これらの努力を通じ、「100年続く産地」を目指す姿勢が評価され、「GAP Japanアワード」に選ばれました。

会津よつば農業協同組合 南郷トマト生産組合

株式会社サンプラザ
- 大阪の地域スーパー発! GAP認証の訴求で顧客から支持!-


  • 他社との差別化戦略としてGAPを活用し、持続可能な未来に向けた貢献と、顧客からの支持を両立
  • 店舗で販売するGAP認証農産物の価値をPOP、チラシ、アプリなどで顧客に訴求
  • 農林水産省の「温室効果ガス削減の見える化ラベル」、大阪版カーボンフットプリント「おおさかCO2CO2ポイント+、大阪脱炭素エキデン365」にも同時に取り組み

株式会社サンプラザは、南大阪を中心に36店舗を展開する地域スーパーで、2018年からGAP認証農産物の取り扱いを開始。現在では野菜に加え、豚肉、生乳、玉子などの取り扱いやJGAP認証食材を使用したお惣菜や冷凍商品の加工も進めています。さらに、グループ会社の植物工場でGLOBALG.A.P.認証を取得し、フリルレタスやバタビアレタスの栽培をしています。

売り場ではPOPやポスターなどを活用し、GAP認証農産物の持続可能な価値を伝えています。また、温室効果ガス削減の見える化ラベルや大阪版カーボンフットプリントなどの取り組みも併せて訴求し、相乗効果を狙っています。これらの取り組みが競争の激しい市場で顧客からの支持を得ており、「GAP Japanアワード」を受賞するに相応しいと評価されました。

株式会社サンプラザ

株式会社ホリ牧場
- 震災にも負けず、JGAP認証を活かしたA2ミルク生産を実現!-


  • 2024年1月の能登半島沖地震において、発災時の避難対応にJGAPが役立つ(燃料等の適切な管理による火災の防止、労働安全重視の中で倒壊しやすい箇所の補強、連絡網の整備による従業員の状況の把握、災害時の対応手順の整備による関係者へのスムーズな連絡、断水時の搾乳への適切な対応など)
  • JGAP認証が審査条件である日本A2ミルク協会のA2ミルク認証を取得(A2ミルクとは、ベータカゼインがA2型で乳糖不耐症を緩和する牛乳)
  • 「JGAPの仕組みを活用して、酪農生産を高めること」を明確にしたことで、日頃の飼養管理活動が活発化

石川県河北郡内灘町にあるホリ牧場は、搾乳牛360頭を飼育し、2024年1月にJGAP認証を取得しました。審査直前に発生した能登半島沖地震の影響を、JGAPの取り組みで早期に克服できた点が評価されました。

さらに、ホリ牧場はJGAPまたは同等の認証を条件としている日本A2ミルク協会の認証を取得し、A2ミルクを生産しています。A2ミルクは、おなかがゴロゴロしにくい特性があり、市場から高い評価を得て北陸や大阪を中心に全国で販売されています。これらの取り組みが評価され、「GAP Japanアワード」に選ばれました。


株式会社ホリ牧場

株式会社リンガーハット
- 国産野菜100%から、JGAP認証農産物使用に向け、日本農業を支援! -


  • 国産野菜100%の実現後、より安全・安心で持続可能な国産野菜の提供を目指してJGAP認証農産物の調達を推進し、2024年にはGAP認証キャベツの仕入率が50%を超える見込み
  • 他の野菜についてもJGAP認証野菜の調達を着実に推進中
  • 日本農業の再生、自給率の向上、安全・安心の提供が基本方針

株式会社リンガーハットは、国内562店舗、海外8店舗で長崎ちゃんぽんを提供するチェーン店を運営しています。2009年に全量国産野菜に切り替え、年間1万7千トンもの野菜を使用しています。2017年からは、より安全で持続可能な国産野菜の提供を目指し、主要野菜のキャベツからJGAP認証農産物の調達を開始しました

購買担当社員がJGAP指導員資格を取得して、契約農家でのGAP認証取得を推進しました。その結果、2024年には仕入率50%に達し、他の野菜についてもGAP認証品の調達を増加させています。

この取り組みは、日本農業の再生や自給率向上、安全・安心な食材提供を基本方針に進められており、「GAP Japanアワード」に相応しいと評価されました。


株式会社リンガーハット

シンポジウム「GAP Japan 2024」にて表彰式、記念講演を実施


本アワードの表彰式、記念講演は、2024年11月27日に開催されるシンポジウム「GAP Japan 2024」にて実施される。当日は、国内外各方面のGAP普及の進捗についての講演も予定。生産者、指導者、流通・小売企業、行政や国際団体が多数出席する場となるため、GAPの重要性とその実践がさらに広く発信される機会となる。


開催概要


シンポジウム「GAP Japan 2024」
開催日:2024年11月27日(水) 13:00~17:30
場所:有明セントラルタワーホールA(東京都江東区有明3-7-18)
※終了後に同会場で懇親会を開催
オンライン配信


一般財団法人 日本GAP協会
https://jgap.jp/


SHARE

最新の記事をFacebook・メールで
簡単に読むことが出来ます。

WRITER LIST

  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
パックごはん定期便