ニッコー、廃食器由来の肥料で育てた「ボナース米」の販売をスタート

石川県金沢市の陶磁器メーカー株式会社ニッコーは、捨てられる食器から生まれた肥料「BONEARTH(ボナース)」を使用して栽培したコシヒカリ「ボナース米」の販売を、東京都渋谷区にある「LOST AND FOUND TOKYO STORE」で開始した。価格は300グラム648円(税込)、1キログラム972円(税込)。


全国的な猛暑・水不足の中、一等米の評価を獲得


ニッコーは、石川県金沢市で創業された洋食器メーカーで、「100年後の、循環する未来をデザインする」をテーマに、「サーキュラーエコノミー(循環経済)」の原則に沿った取り組みを推進。製品づくりの段階から廃棄が出ない設計を考え、一度調達した資源ができる限り社会の中で循環し続けるサーキュラー型のビジネスモデルへの変革を目指すため、さまざまなアプローチを検証している。

また、世界初の捨てられる食器から生まれた肥料「BONEARTH」を使いさまざまな農作物を育ており、今回は「BONEARTH」を使ってコシヒカリを栽培した。


ニッコーが国内の自社工場で一貫製造するNIKKO FINE BONE CHINAは、陶磁器の原料である石や粘土に加え、食肉として残った牛の骨を溶解再合成したリン酸三カルシウムを約50%含んでいる。ニッコーでは、このリン酸三カルシウムが肥料として有効なことから、生産過程で生じる規格外品を肥料としてリサイクルする技術を確立した。

「BONEARTH」には肥沃な土壌を形成する効果があるリン酸が含まれいるほか、水に溶けず、河川に流出しにくいため、用水が近い水に恵まれた地域でも安心して使用できるという。

写真左:捨てられる食器から生まれた肥料「BONEARTH(ボナース)」

販売される「ボナース米」は、ニッコーの本社がある白山市や鳥越地域で育てられてたコシヒカリ。鳥越地域は、山間部で寒暖差が大きいことや白山おろしと呼ばれる山風、朝日が早くのぼり夕日が落ちるのが早いなど、昔からおいしいお米ができるといわれている。

鳥越の豊かな自然と「ボナース米」

栽培に協力したのは、米栽培を中心に農業生産事業を行う株式会社グリーンサポート出村の出村氏。今回の販売開始を受け、「安全で美味しいお米を育てたいという想いの下、節減対象農薬の使用回数50%以下、化学肥料の窒素成分量50%以下というあえて厳しい基準を設けて栽培した」と語る。

なお、今回収穫した「ボナース米」は、今年の全国的な猛暑・水不足の中、一等米の評価を受けている。


ニッコー株式会社
https://www.nikko-company.co.jp/
LOST AND FOUND TOKYO STORE
https://lost-found-store.jp/pages/tokyo-store
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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