スペシャルティチョコレート専門店Minimalが沖縄の自社研究農園で国産カカオの栽培・収穫に成功

株式会社βaceが展開する、日本発のスペシャルティチョコレート専門店 「Minimal - Bean to Bar Chocolate -(ミニマル)」は、2021年より沖縄でカカオの栽培を始め、2024年5月に初となるカカオの実の収穫に成功した。


栽培・発酵のノウハウを活かし、高品質なチョコレート製造を目指す


株式会社βaceは、東京都渋谷区に拠点を置きチョコレートの製造・販売を行う企業。世界各地から厳選したカカオ豆を使用し、ひとつひとつ手作業でチョコレートを製造する日本発のスペシャルティチョコレート専門店「Minimal - Bean to Bar Chocolate -」を運営している。

ショコラティエ・パティシエ含む、カカオ・チョコレートの職人チーム「Minimal」

Minimalのチョコレートは、素材のカカオを現地で発酵・乾燥させ、カカオ農家と協力して高品質なフレーバーを開発しているのが特徴。また、プランテーションの名残があるカカオ産業の持続可能な経済的自立を目指し、技術支援を行いながら公正で倫理的な取引を行っているという。2019年には、JICAのODA案件化調査プロジェクトでニカラグアにおけるカカオの調査を実施した。

Minimalでは、カカオの生育がチョコレートの味わいにどのように影響するかを探り、より理想の味わいのカカオを育てるため、2021年から沖縄に実験農園を設けて栽培研究を行っている。

沖縄でのカカオ栽培のノウハウがない状況からのプロジェクトスタートであったが、適切な土壌や受粉に最適な気候、日照条件など諸条件について実験を重ねた結果、4年の歳月を経て、2024年5月にカカオの収穫に成功し、日本での栽培ノウハウを確立したという。

カカオ収穫の様子

Minimal代表・山下氏のコメント
国産カカオ栽培のプロジェクトは、「より美味しいチョコレートを作る」 ために始まりました。 カカオ豆の品質を左右するのは、品種、テロワールに加えて、農業です。その農業を深く理解することで、カカオ農家からの「より美味しいカカオ豆を作るには農業をどう改善すれば良いか?」という質問にきちんと回答することができます。

ある意味で、このプロジェクトは農家と協働しながらより良質なカカオ豆を作ってきた私たちだから始まったプロジェクトではないかと思います。根底にはカカオ農家へのリスペクトがあります。日本で先端的に農業を行い、貯まったノウハウを、全世界の提携するカカオ農家に還元して、現地での農家と協働して良質なカカオ豆栽培を加速させていきます。 また、日本という独自の環境に適応したカカオ栽培の技術が貯まったので、このノウハウを使って、国産カカオ栽培を将来的に広げていきたいと思っています。

今後は東京でカカオの発酵実験を行い、発酵条件の分析・評価などを実施していく。この発酵が成功すれば、Minimal初となる国産カカオを使ったチョコレートの製造に向けて、次の工程に入るとしている。

また、今回得られた知見を世界各地で取引しているカカオ農園とシェアすることで、グローバルな品質向上に貢献する計画だ。


株式会社βace
https://mini-mal.tokyo/pages/company
Minimal - Bean to Bar Chocolate 
https://mini-mal.tokyo/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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