アフリカの農業支援に向けた植物モニタリングの実証実験がスタート

立命館大学は、アフリカ農業を支援するDegas株式会社、半導体メーカーのエイブリック株式会社、三重県津市の株式会社浅井農園と共同で、貧困層が増加しているサブサハラアフリカ(サハラ砂漠以南)地域の農業支援を目的とした実証実験を沖縄県宮古島のパニパニファームキャステムで開始した。

パニパニファームキャステム(沖縄県宮古島)

モニタリングシステムの有用性を検証


実証実験では、無電源農地が多いというガーナの気候に近い沖縄県宮古島市のパニパニファームキャステムをフィールドに、樹液発電を用いたワイヤレス植物モニタリングセンサシステムを構築。ガーナの主要農産物であるカカオやバニラを生産し、電気や通信インフラが脆弱な地域でもスマート農業を活用した持続可能な農業生産が可能なことを検証していく。

実証実験で栽培しているカカオの木とワイヤレス植物モニタリングセンサ
実験に使用されているワイヤレス植物モニタリングセンサシステムは、樹木の導管を流れる樹液が亜鉛製の電極針に反応して発生する微小な電気を蓄電し、一定の電力が溜まった時点で送信機から受信機へとワイヤレス送信する技術である。

水分量が少ない土壌や樹木自体が弱り樹液を吸う量が低下すると発電量も低下するため、送信機から受信機への信号間隔が長くなるという。この受信間隔を参考にすることで樹木の健康状態の把握が可能となる。




実証実験のプロジェクト体制

立命館大学、Degas、エイブリック、浅井農園の4者は、今回の実証実験を通じて、サブサハラアフリカ地域の持続可能な農業生産を支援していくと同時に、SDGs17目標の中にある「貧困をなくそう」、「飢餓をゼロに」、「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、「人や国の不平等をなくそう」の4つの目標を達成したい考えだ。


立命館大学
http://www.ritsumei.ac.jp/
Degas株式会社
https://www.degasafrica.com/
エイブリック株式会社
https://www.ablic.com/jp/semicon/
株式会社浅井農園
https://www.asainursery.com/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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