コメと農政の問題に迫る書籍『コメ壊滅』が9月18日に発売

農業ジャーナリストの山口亮子氏が執筆した書籍『コメ壊滅』が2025年9月18日(木)に新潮社から発売された。価格は968円(税込)。


日本のコメの「歪んだ現実」とは


著者の山口亮子氏は長年、農政の闇に切り込んできた。

2024年、「令和のコメ騒動」と言われる事態が発生。コメが品薄になり、米価が急上昇する中、農水省は事態を沈静化させることはできなかった。また、今後も同じ状況が続くと予想されている。

山口氏は、農水省はウソをついていたと指摘する。農水省が出している公的文書「農村白書」に掲載されたグラフを見れば、コメの需要と供給が2021年にほぼ一致したのを境に、ずっと供給量が需要を下回っているのが確認できる。これは、コメ不足がここ数年で構造化してしまったことを示しているという。

この理由には、温暖化や異常気象による生産量の減少、インバウンド需要によるコメ消費の増大、生産量予測体制の不備などがあるが、根本的かつ最大の理由は「減反政策が大失敗したこと」だという。コメ需要の低下を予測しコメ価格の維持・高騰を狙った農政が、転作を奨励し、主食用米の生産量をずっと減らし続けたそのツケが「コメ騒動」という形で噴出したのだ。

山口氏は、政策担当者から生産現場、流通関係の当事者まで幅広く取材。問題の発生には農政の構造問題があり、その構造が変わらない限り、同じ問題は何度でも繰り返すと警鐘を鳴らす。



著者プロフィール
山口亮子
ジャーナリスト。京都大学文学部卒。中国・北京大学修士課程修了(歴史学)。時事通信記者を経てフリーに。著書・共著に『日本一の農業県はどこか 農業の通信簿』『ウンコノミクス』『農業ビジネス』『誰が農業を殺すのか』『人口減少時代の農業と食』などがある。企画・編集やコンサルティングを手がける(株)ウロ代表取締役。


書籍情報

『コメ壊滅』
著者:山口亮子
発売日:2025年9月18日
造本:新書
定価:968円(税込)
ISBN:978-4-10-611100-6
URL:https://www.shinchosha.co.jp/book/611100/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
  5. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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