グローバル展開を目指すスタートアップを支援、「FOODTECH global expansion Program」参画する3社が決定

CIC Instituteは、農林水産省委託事業の「FOODTECH global expansion Program」に参加するスタートアップ3社を発表した。今後は、海外展開に向けてのブラッシュアップと展開先のステークホルダーとのマッチングを行っていく。


日本のフードテック企業3社が採択


CIC Instituteは、アメリカ・マサチューセッツ州に拠点を構えるイノベーションセンターCICが発足した専門部署。政府や地方自治体、大学などと連携したスタートアップの成長支援や、エコシステム構築業務を行っている。

CIC Instituteが運営する「FOODTECH global expansion Program」は、グローバル市場でのフードテック関連の事業展開を目指すスタートアップ等を対象に、海外展開戦略策定から現地でのネットワーキング構築などの伴走型支援を農林水産省委託事業において行うもの。

(1)グローバル市場への進出に必要な戦略策定・実行力の習得
(2)海外現地でのネットワーク構築や潜在的ニーズの発掘
(3)販路開拓や事業提携、資金調達等の実現可能性の向上

上記3つを目的としており、時期に応じて3つのフェーズに分けた「海外展開戦略の策定支援」「市場調査支援」「現地パートナーのご紹介」等の支援を実施する。

2025年度の同プログラム参加者には、以下の3社が採択された。

株式会社クォンタムフラワーズ&フーズクォンタムフラワーズ&フーズ


量子技術とバイオテクノロジーを融合した中性子線育種技術により、生物資源の開発を支援するディープテック企業。中性子線の特性を活かした革新的な技術とノウハウを通じて、植物や微生物の有用品種をNon-GMOかつスピーディーに開発する手法を提供する。


合同会社シーベジタブル


種苗培養のための母藻を採取し種苗を生産。海藻を陸上及び海面で量産し、新たな保存方法や加工法の開発、製品化、新たな食文化をつくるための料理開発までを一貫して行っている。

天然の生産量がほぼゼロになってしまった「すじ青のり」の陸上養殖から事業をスタートし、同じように食文化はあるが激減してきた「はばのり」「とさかのり」「スーナ」などの海藻の生産技術を確立し、生産・販売してきた。黒海苔や昆布もこれから量産を行っていく予定。


トイメディカル株式会社


海藻由来の食物繊維「アルギン酸類」を利用し、塩分吸収を抑える塩分オフセット技術を保有する企業。具体的には、塩分の体内吸収を抑制するサプリメントの製造販売と、体に塩分を吸収されにくくする食品添加物を食品メーカーおよび飲食店に販売している。味を変えることなく、体内に吸収される塩分量を補正する塩分オフセット食の社会実装を進めている。


採択者には今後、海外展開に向けたロードマップのブラッシュアップ支援や、渡航に必要なスキルの習得などをサポートしていくという。


FOODTECH Global Expansion Program
https://jp.cic.com/news/foodtech-global-expansion-program-2025/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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