持続可能な農業につながる取り組みを表彰する「GAP Japan アワード 2025」受賞者が決定

一般財団法人日本GAP協会は、GAP(Good Agricultural Practices)の普及を一層推進し、持続可能な農業の未来を切り拓く、優れた取り組みを表彰する「GAPJapanアワード2025」の受賞者を決定した。


GAPの取り組みを推進する3団体が選定


GAPとは「Good Agricultural Practices」の頭文字を取ったものであり、農産物を生産するうえで生産者が守るべき取り組みのことを指す。

日本GAP協会が運営するJGAPASIAGAPは、食品安全、環境保全、労働安全、農場管理、人権の尊重、家畜衛生やアニマルウェルフェアの取り組みを基礎とした農場の認証制度であり、持続可能な農業の実現、SDGsの推進に貢献するものだ。

「GAPJapanアワード」では、GAPの普及を一層推進し、持続可能な農業の未来を切り拓く優れた取り組み事例を表彰している。今年度はJAおおいたGAP研究会(大分県)、株式会社農流研(茨城県)、株式会社光ファーム(茨城県)の3団体の事例が選定された。

JAおおいた GAP研究会(大分県)
「JAの組織力で持続的成長を図り、JGAP団体認証を拡大」


 

JAおおいたGAP研究会は、2016年に品目毎の団体を統合する形でJGAP団体認証を取得。設立当初の69農場から、現在は161農場20品目に拡大している。

85名の指導員が営農指導と一体でGAPを推進し、内部監査マニュアルも改訂して事務局となるJAの人事異動にも対応可能な仕組みを整備。さらに、日本農業新聞への寄稿や農林水産祭でのブース出展、飲食店とのコラボによるメニューフェア開催など、消費者への発信も積極的に進めている。


株式会社農流研(茨城県)
「資材販売から生産者の育成、流通まで、JGAPを活用して地域農業を牽引」


 

株式会社農流研は、農業資材販売店「農家の店しんしん」を展開するアイアグリ株式会社の事業会社。

資材販売にとどまらず、生産者育成の観点からJGAP認証の取得と組織化による販路確保を両立させる仕組みを構築。茨城・千葉・群馬・埼玉にある5団体のうち「いばらき農産物流通研究会」、「常総農流研」で団体認証を取得し、個別認証の農場も加えた38農場が20品目以上を出荷している。

さらに、営農指導を行うNPO法人農業支援センターを設立し、セミナーや巡回等を通じて認証取得を支援。資材会社が生産者へのGAP指導から販売までを取り組むユニークなモデルとして、地域農業の持続可能性に寄与している。


株式会社光ファーム(茨城県)
「100年続く農業経営を目指して、JGAPを活用した人材育成と組織づくり」


 

株式会社光ファームは、茨城県境町で米とそばを生産する農業法人。「持続的な営農には、働きがいのある職場づくりが不可欠」との考えから、JGAPを人材育成と組織づくりの柱とし、2019年にJGAP認証を取得した。

JGAP指導員を核とした組織作りからの従業員教育の徹底、仕事のリストアップと見える化、人事評価への「GAPの徹底」の組み込みにより、従業員が理念に沿った行動を実践し、さらには賃金への反映によってモチベーション向上にもつながっているという。

また、農業者組織の会長として地域農業者13名のJGAP団体認証をリードし、地域のGAP普及にも寄与している。


受賞者の表彰式と記念講演は、2025年11月14日(金)「GAPとSDGs農業の日」に開催されるシンポジウム「GAP Japan 2025」にて行われる。

GAPJapanアワード2025選考委員
齋藤 一志氏(公益社団法人 日本農業法人協会 会長)
田口 光弘氏(農研機構 農業経営戦略部 フードチェーンユニット ユニット長)
針原 寿朗氏(住友商事株式会社 顧問/日本GAP協会 評議員/元農林水産省 農林水産審議官)

開催概要

「GAP Japan 2025」
日時:2025年11月14日(金)13:00~17:30
場所:有明セントラルタワーホールA(東京都江東区有明3-7-18)※オンライン配信あり
申込URL:https://jgap.jp/gapjapan2025/index.html
申込〆切:2025年10月31日(金)


一般財団法人 日本GAP協会
https://jgap.jp/ 
JAおおいた GAP研究会
https://jaoita.or.jp/agriculture/farming
株式会社農流研
https://www.noryuken.com/
株式会社光ファーム
http://hikarifarm.jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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