農水省、野菜を食べようプロジェクト「野菜摂取量の見える化の取組」2023年度の結果を公表

農林水産省は、2023年度の「野菜摂取量の見える化の取組」の結果を発表した。

野菜摂取量評価装置「ベジメータ®」を活用して野菜摂取量を調査。推定野菜摂取量が328gまで改善し、目標摂取量350gに近づいた。


野菜摂取量見える化の取り組み結果


株式会社LLCジャパンが取り扱っている野菜摂取量評価装置「ベジメータ」は、アメリカのユタ大学にあるLongevity Link Corporation(LLC社)が製造しており、2010年に世界で初めて野菜摂取量を評価する装置として発明された。
 
農林水産省は、2022年から野菜を食べようプロジェクト「野菜摂取量の見える化の取組」として、ベジメータを用いた野菜摂取量改善の取り組みを行っている。
 
具体的には、 「野菜の日」(8月31日)の特別企画として、農林水産省内に日頃の野菜摂取状況が把握できる測定機器を設置。2023年7月~9月および11月~12月にわたって測定機器を設置し、日頃の食生活に適量の野菜を摂取することが習慣となるような機会を提供している。


農林水産省の職員向けの調査では、あらかじめアンケートを行い、回答した3014人のうち2646人がベジメータ測定を受けた。その中から、約60人が特定保健指導の対象となり、測定結果を活用した食生活指導を受けたという。

参加者全体の結果を見てみると、初回ベジスコア平均は367.7(野菜290g程度)であったが、再測定時には416.2(野菜328g程度)と48.5ポイント(野菜38g相当)上昇し、目標摂取量の350gに近づいた。

特に、推定野菜摂取量350g以上であることを示すA判定の割合は19.4%から35.4%へと、16ポイント増加した。一方で、推定野菜摂取量200g前後であることを示すD判定の割合は、16.2%から6.2%と10ポイント減少した。

さらに、2022年に各2回すべて測定した職員(初回ベジスコア406.9→2回目425.1)については、2023年に測定を重ねるごとにスコアが上昇する傾向が見られた(初回427.5→2回目432.2)。

測定前のアンケートでは、野菜摂取状況についての自己評価が高い人ほどベジスコアも高い傾向が見られ、参加者からは「野菜摂取が数値で見えるので楽しかった」「食生活の振り返りに役立った」などの前向きな意見が多数寄せられたという。

一般来庁者を対象にした調査では、ベジメータの類似装置である「べジチェック®」を使用し、3179回にわたって実施された。その結果、測定者の約8割が野菜摂取目標である1日350g以上に達しておらず、前年の約7割から約1割(10.2%)増加していることがわかった。

さらに、2022年のデータを基に推定野菜摂取量の分布を比較したところ、「150g未満」と「175g」の摂取量の割合が37.5%から52.3%に大きく増加した。

一方で、350g程度または350g以上の摂取量の割合は26.6%から16.4%に減少し、測定から1年後には推定野菜摂取量が約100g減少していることが明らかになった。

LLCジャパンは、農林水産省の取り組み結果を含む世界中の研究成果をフィードバックし、野菜不足の改善を目指すとしている。
 

株式会社LLCジャパン
http://www.llcjapan.jp
Longevity Link Corporation
http://www.longevitylinkcorporation.com/home.html
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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