ヤンマーアグリ、フィリピンにおける水田由来メタン削減に向けフェイガーと協業

ヤンマーアグリ株式会社とYanmar Philippines Corporation(以下、ヤンマーフィリピン)は、水管理手法「Alternate Wetting and Drying(AWD)」を用いて、フィリピンにおける水田由来のメタン削減に取り組むため、株式会社フェイガーと協業すると発表した。

2024年11月頃より実証試験を行い、早期の普及と脱炭素への貢献を目指すという。


農業者の収益確保と脱炭素化の実現を目指す


株式会社フェイガーは、カーボンクレジットの生成から販売までを一貫して取り組む企業。クレジット化のサポートから買取までを行うことで農業者に収益をもたらし、農業におけるCO2の排出量削減活動を推進している。

ヤンマーアグリが気候データプラットフォーム「CLIMATE WATCH」にて取得したデータを基に調査した結果、フィリピンでは水田由来のメタンが全産業で排出される温室効果ガスの約20%を占めていると推定され、水田由来のメタン削減の必要性が高まっているという。

また、日本の農林水産省は、農業分野における二国間クレジット(JCM)の活用を推進しており、ASEAN地域の水田由来のメタン排出量削減およびAWD普及促進のため、温室効果ガス排出量の測定・報告・検証を行うMRV(算定・報告・検証)構築の検討を進めている。

フィリピンでの田植えの様子

AWDとは、水稲栽培において潅水制御を繰り返す水管理技術を指す。フィリピンの水田は、連続的に湛水状態であり、土壌中のメタン生成菌がメタンを発生させているが、一定期間水田を乾燥させ、土中に酸素を供給することで、メタン生成菌の活動を抑制し、常時湛水と比べてメタン排出量を低減することが可能になる。

また、通常の水稲栽培では、湛水状態を保つために大量の水を使用する必要があり、水資源が十分でない地域においては、水資源の浪費が課題の一つになっているという。

AWDは水田を一時的に乾燥させるため、水の使用量を大幅に削減できるだけでなく、ポンプを利用する際の燃料消費量の低減が見込まれ、温室効果ガス削減の観点からも注目されている。

温室効果ガス測定の様子

2024年11月から行われる実証試験では、ヤンマーアグリ、ヤンマーフィリピン、フェイガーの3社が協力し、現地水田でのメタン排出・削減量、カーボンクレジット創出による農家の収益シミュレーションなどを検証していく。

今後は、ヤンマーアグリとヤンマーフィリピンの農業機械の販売で培ったフィリピン全土の農業関係者とのネットワークと、フェイガーのカーボンクレジットのノウハウを生かしながら、生産者と協力してカーボンクレジット創出を目指すとしている。

また、ヤンマーグループでは、この取り組みによって創出されたクレジットを用いて、カーボンオフセットに取り組み、環境負荷低減と生産者の収益拡大を両立した持続可能な農業の発展に貢献していくという。


ヤンマーホールディングス株式会社
https://www.yanmar.com/jp/
株式会社フェイガー
https://faeger.company/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
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    川島礼二郎
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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